★カロテノイド科学について纏めた数少ない専門書!
★カロテノイドの分布や合成経路、単離や分析方法などの基礎から動物やヒトへの生理活性、医療・食品などへの応用まで詳解!
★科学的・分子レベルで解明されつつあるカロテノイドの生理作用!第一線で活躍する研究・開発者が執筆!

カロテノイドの科学 ―基礎,研究の新展開,生理活性―
Carotenoid Science: Fundamental and Novel Studies, and Biological Functions

商品概要
個数

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略称
カロテノイド
商品No
bk7918
発刊日
2024年03月19日(火)
ISBN
978-4-7813-1798-4
体裁
B5判・275頁
価格
64,900円 (本体価格:59,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:[email protected] 問い合わせフォーム
監修
高市真一
著者
高市真一   東京農業大学
眞岡孝至   (一財)生産開発科学研究所
新藤一敏   日本女子大学
藤井律子   大阪公立大学
出羽毅久   名古屋工業大学
近藤政晴   名古屋工業大学
川﨑信治   東京農業大学
豊島拓樹   東京農業大学
作道 隆   国立感染症研究所
川田紘次郎  東京大学
伊藤晋作   東京農業大学
吉澤 晋   東京大学
蓮沼誠久   神戸大学
石原大地   早稲田大学
長島 綾   早稲田大学
梅野太輔   早稲田大学
竹村美保   石川県立大学
古林真衣子  (国研)産業技術総合研究所
本田真己   名城大学
井上拓郎   カゴメ㈱
加藤雅也   静岡大学
馬 剛    静岡大学
張 嵐翠   静岡大学
尾花 明   聖隷浜松病院アイセンター;浜松医科大学;
       大阪公立大学;島根大学
細川雅史   北海道大学
高谷直己   北海道大学
真鍋祐樹   京都大学
菅原達也   京都大学
前多隼人   弘前大学
内藤裕二   京都府立医科大学
西田康宏   富士化学工業㈱
桑原大知   ENEOSテクノマテリアル㈱
平澤和明   ENEOSテクノマテリアル㈱
発刊にあたって
カロテノイドの研究は分析機器の開発・発展や他分野の研究方法の開発などにともなって進展した。19世紀に古典的な有機化学的な手法による研究が始まり,20世紀前半には分子式,中央部分の共役二重結合,両側の末端基の構造が決められ,中頃にはカロテノイドの全化学合成が行われた。また核磁気共鳴や質量分析などの分析機器が使われ始めた。天然物化学としての研究の時代である。その後,分子生物的・分子遺伝学的な手法の発達に伴い,カロテノイド合成遺伝子や合成経路の研究がなされて,現在の合成制御や大量合成の研究につながった。
 21世紀に入りいくつかのカロテノイドの動物やヒトに対する生理作用が科学的・分子レベルで解明されはじめた。これがサプリメントの使用につながった。ただしあるカロテノイドの生理作用について他のカロテノイドと十分な比較検討ができていない例もある。
 本書は最新のカロテノイド科学をまとめたもので,第1編で基礎的なカロテノイドの分布や合成経路,単離や分析方法を解説する。第2編ではカロテノイドの関連分野につながる新しい基礎的な研究をいくつか紹介する。カロテノイド関連の研究のブレークスルーになる可能性がある。第3編では動物やヒトに関連したいくつかのカロテノイドの生理活性を解説する。医療的な手法に使われたり,抗酸化活性などのエビデンスに基づいたサプリメントに使われたり,またその基礎研究がなされている。本書がカロテノイド研究のさらなる発展の一助となることを願っている。
(本書「はじめに」より抜粋)
書籍の内容

【第I編 カロテノイドの基礎研究】

第1章 カロテノイド合成生物におけるカロテノイド分子種と生合成経路の分布
1 はじめに
2 フィトエンからリコペンの合成:細菌型経路と植物型経路
3 リコペンの環化(β-カロテン,α-カロテン合成)
4 非酸素発生型光合成細菌の多様性
4.1 紅色細菌のカロテノイドと合成経路の多様性
4.2 クロロフレクサスと緑色硫黄細菌のカロテノイドと合成系
5 酸素発生型光合成生物のカロテノイドと合成経路
5.1 シアノバクテリア
5.2 藻類
5.3 陸上植物
6 非光合成生物
6.1 好気性細菌
6.2 アーキア
6.3 菌類
7 おわりに

第2章 動物におけるカロテノイドの分布―食物連鎖,代謝,機能
1 水生動物のカロテノイド
2 陸生動物のカロテノイド
3 動物におけるカロテノイドの存在意義
4 動物のカロテノイドの分析,構造解析の注意点

第3章 カロテノイドの抽出,精製,同定方法と問題点
1 はじめに
2 カロテノイドの抽出と精製
2.1 カロテノイドの抽出と問題点
2.2 カロテノイドの精製方法
3 カロテノイド同定に必須な3項目
3.1  UV-Vis吸収スペクトルによる発色団(共役二重結合系,C=C,C=O)の決

3.2 C18-HPLCの溶出順から極性基の推定
3.3 質量分析
4 カロテノイドの構造決定
4.1 1H-NMR,13C-NMRスペクトルによる構造決定
4.2 円偏光二色性(CD)スペクトル分析による立体異性決定
4.3 “Carotenoids Handbook”との比較
4.4 生物の系統分類と特異的なカロテノイドの存在
4.5 ゲノム塩基配列から合成遺伝子と生産物の推定

第4章 カロテノイドの機器分析:NMR,MS,CD分析
1 はじめに
2 核磁気共鳴(NMR)分析
2.1 平面構造分析
2.2 立体構造分析
2.3 側鎖分析
3 質量(MS)分析
3.1 分子イオン分析
3.2 高分解能質量(HR-MS)分析
3.3 LC-MS/LC-MS/MS分析
4 円偏光二色性(円二色性)(CD)分析

【第II編 カロテノイド研究の広がり】

第5章 光合成系におけるカロテノイドの役割
1 はじめに
2 光合成系の分子構築
2.1 光合成の定義と概要
2.2 光合成色素タンパク質複合体の分子構築
2.3 色素タンパク質複合体の構造解明におけるブレイクスルー
2.4 紅色光合成細菌の光合成系の分子構築
3 光合成におけるカロテノイドの生理機能
3.1 カロテノイドは光合成生物の生存に必要か?
3.2 カロテノイドは色素タンパク質複合体の構造形成に関与するのか?
3.3 カロテノイドによる太陽光利用戦略

第6章 人工光合成:カロテノイドを利用した光エネルギー変換系
1 はじめに
2 人工光合成・物質変換におけるカロテノイド
3 ポルフィリン―カロテノイド結合系によるエネルギー変換
3.1 歴史的背景:反応中心複合体RCの構造解析前
3.2 人工系での電荷分離素子「人工RC」の創出
3.3 カロテノイドを光捕集系色素として用いる合成分子系
3.4 人工RCによるエネルギー生産
4 カロテノイド/クロロフィル系を光増感剤とする水素生産
5 まとめ

第7章 微細藻類から発見された水溶性のアスタキサンチン結合タンパク質-AstaP
1 序
2 AstaPの発見
3 AstaPの構造的な特徴
4 AstaPの生物分布
5 AstaPオルソログの機能
6 AstaPのアスタキサンチン嗜好性
7 AstaPの機能
8 AstaPの産業利用
9 最後に

第8章 カイコの遺伝資源を利用したカロテノイドの体内輸送を担う分子の同定
1 はじめに -カイコの繭の色-
2 黄血遺伝子は細胞内のカロテノイド結合タンパク質CBPである
2.1 古典的交配による黄血遺伝子の発見
2.2 黄血遺伝子の機能
2.3 カロテノイド結合タンパク質の精製と配列決定
2.4 黄血遺伝子のアレルの複雑な構造
2.5 CBPの強制発現による白血系統の黄血への復帰
2.6 CBPの立体構造
2.7 CBPの哺乳類相同分子の機能
3 黄繭遺伝子と肉繭遺伝子は二回膜貫通型タンパク質である
4 他のカロテノイド系繭色遺伝子
5 今後の課題
5.1 カロテノイドならではの輸送機構の特徴
5.2 他の生物試料を用いたカロテノイド結合タンパク質の同定
5.3 遺伝資源の維持
5.4 古典的遺伝子にこだわらない研究
5.5 生化学的,細胞生物学的な解析
5.6 新しい繊維産業を生み出せるか

第9章 カロテノイド由来の植物ホルモン―ストリゴラクトンとアブシジン酸
1 植物ホルモン
2 アブシシン酸の生理作用と生合成
3 ストリゴラクトンの生理作用と生合成
4 ストリゴラクトンを用いた根寄生雑草防除
5 その他のカロテノイド由来生理活性物質

第10章 レチナールと種々なロドプシンの機能
1 微生物型ロドプシンの発見とその分布
2 海洋微生物の持つ多様なロドプシン機能の発見
3 ロドプシンとレチナール
4 集光アンテナとして機能する新たなカロテノイドの発見

第11章 微生物によるカロテノイド高生産とメタボローム解析の応用
1 はじめに
2 緑藻ヘマトコッカスでのアスタキサンチン高生産
3 カロテノイド高生産化のための変異導入と実験室進化
4 シアノバクテリアを利用したカロテノイド高生産
5  動的メタボロミクスによる代謝メカニズム解析とカロテノイド高生産化への応用
6 ハプト藻パブロバを利用したフコキサンチン生産
7 今後の展望

第12章 進化分子工学とカロテノイド
1 はじめに
2 進化分子工学とは
3 カロテノイド生合成経路の進化
4 カロテノイドのおかげで進化した非カロテノイド合成酵素たち
5 カロテノイド生合成を利用したテルペン合成酵素の進化工学
6 上流経路の分子育種
7 IPP/DMAPP比の分子育種技術
8 おわりに

第13章 大腸菌によるカロテノイドの生合成
1 はじめに
2 大腸菌で生産可能なカロテノイド
3 大腸菌を用いたカロテノイド生産方法
4 大腸菌によるカロテノイド生産に影響を与える因子
4.1 宿主の大腸菌株の種類
4.2 ベクターの種類
4.3 プロモーター
4.4 SD配列
4.5 コドン使用頻度
4.6 葉緑体移行シグナル
4.7 補因子(酸化還元パートナー)
4.8 培養条件
4.9 上流経路の強化
4.10 ゲノム挿入
5 大腸菌を用いる利点と問題点
6 まとめ

第14章 非天然C50・C60カロテノイドの生合成工学
1 諸言
2 自然界のカロテノイド生合成経路
3 非天然C50骨格カロテノイドの生合成経路デザイン
4 CrtMの進化工学によるC50-フィトエンの生合成
5  CrtMとFDSの更なる進化工学:C50-フィトエンを選択的に生産する経路の構築
6 CrtIの進化工学:C50骨格に共役二重結合を入れる
7 カロテノイド末端修飾酵素の共発現による非天然C50カロテノイド経路の多様化
8 非天然C60骨格の生合成と今後の展望
9 おわりに

【第III編 カロテノイドの生理活性と応用展開】

第15章 リコペン異性体:異性化方法と体内吸収性・生理活性
1 リコペンの異性体について
2 異性化がリコペンの体内吸収性に及ぼす影響
3 異性化がリコペンの生理活性に及ぼす影響
4 リコペンのシス異性化方法
5 シス型リコペン素材の実用化における課題

第16章 リコペンの前立腺がん予防作用・血中脂質改善作用
1 はじめに
2 リコペンの前立腺がんに対する予防作用
3 リコペンの血中脂質に対する改善作用
4 おわりに

第17章 カンキツ果実におけるβ-クリプトキサンチンの生合成機構およびヒトへの機能性
1 β-クリプトキサンチン蓄積の品種間差異
2 β-クリプトキサンチン蓄積のメカニズム
2.1 β-クリプトキサンチンの生合成
2.2 β-クリプトキサンチンの代謝分解
2.3 β-クリプトキサンチンのエステル化
3 βクリプトキサンチンの機能性
3.1 ヒト血中β-クリプトキサンチンのレベル
3.2 β-クリプトキサンチンにおけるプロビタミンA活性および他の生体機能性

第18章 ルテイン,ゼアキサンチンの眼における働き
1 はじめに
2 黄斑の構造と機能
3 黄斑に加わる光酸化ストレス
4 黄斑色素による光酸化ストレスに対する防御
4.1 黄斑色素の成分と存在部位
4.2 黄斑色素の形成
4.3 黄斑色素の作用
5 黄斑色素の測定法
5.1 心理物理学的方法 ヘテロクロマチック・フリッカー・フォトメトリー(HeterochromaticFlicker Photometry,HFP)
5.2 眼底反射光測定法(Fundus Reflectometry)
5.3 眼底自家蛍光分光法(Fundus Autofluorescence Spectroscopy)
5.4 共鳴ラマン分光法(Resonance Raman Spectroscopy)
6 黄斑色素に影響をもつ要因
6.1 ルテイン,ゼアキサンチン摂取量
6.2 その他の要因
6.3 黄斑色素分布
7 ルテイン,ゼアキサンチン摂取と加齢黄斑変性
7.1 加齢黄斑変性とは
7.2 加齢黄斑変性と黄斑色素
7.3 ルテイン,ゼアキサンチン含有サプリメントの加齢黄斑変性予防効果
7.4 サプリメント摂取と黄斑色素密度
8 おわりに

第19章 褐藻フコキサンチンの非アルコール性脂肪肝炎予防効果と生体利用率の向上
1 はじめに
2 非アルコール性脂肪肝炎に対する予防効果
3 フコキサンチンの生体内代謝と組織蓄積
4 フコキサンチンの生体利用性の向上
5 おわりに

第20章 緑藻シフォナキサンチンの機能性に関する基礎研究
1 はじめに
2 がんに対する作用
3 皮膚に対する作用
4 脂肪組織に対する作用
5 肝臓に対する作用
6 消化管吸収
7 組織分布
8 炎症反応に対する作用
9 その他の生物活性
10 おわりに

第21章 パプリカのカロテノイドのヒトへの生理活性
1 はじめに
2 パプリカに含まれるカロテノイドパプリカ色素
3 脂肪組織からのアディポサイトカイン分泌の調節作用
4 脂肪細胞での慢性炎症の抑制作用
5 パプリカカロテノイドによるそのほかの健康機能性
6 おわりに

第22章 アポカロテノイドの動物細胞への生理活性
1 はじめに
2 β-カロテン関連アポカロテノイド
3 リコペン関連アポカロテノイド
4 フコキサンチン関連アポカロテノイド
5 アスタキサンチン関連アポカロテノイド
6 おわりに

第23章 アスタキサンチンの機能性に関する基礎研究
1 はじめに
2 アスタキサンチンとは?
3 アスタキサンチンの基本的活性
3.1 一重項酸素消去作用
3.2 脂質過酸化抑制作用
3.3 ミトコンドリア機能改善
3.4 腸内環境改善
3.5 抗炎症・免疫調節作用
3.6 抗腫瘍作用
4 機能性評価
4.1 抗糖尿病作用
4.2 筋肉疲労の軽減
4.3 抗肥満作用
4.4 皮膚保護作用
5 おわりに

第24章 ヘマトコッカス藻のアスタキサンチン生産とヒトへの種々な生理活性
1 はじめに
2 アスタキサンチンを生産する生物とその代謝
3 商業的なアスタキサンチン資源:ヘマトコッカス藻
4 ヘマトコッカス藻アスタキサンチンからわかってきたアスタキサンチンの有用性
5 エネルギー代謝・フレイルに対する作用
6 アスタキサンチンの肥満時の骨格筋に対する有用性
7 アスタキサンチンの脂肪組織に与える影響
8 運動抵抗性とアスタキサンチン
9 アスタキサンチンの加齢に関するインパクト
10 ヘマトコッカスアスタキサンチンの臨床結果

第25章 パラコッカス菌を用いたカロテノイドの商業生産と飼料への用途展開
1 はじめに
2 Paracoccus carotinifaciensについて
3 カロテノイドの生産性向上
4 P. carotinifaciensが生産できるカロテノイドの種類
5 PanaferdⓇの製造と色調改善効果
6 PanaferdⓇの色揚げ以外の効果
7 総括と今後の展望

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