★シェルの材料や厚み、内部の空洞による構造から、ユニークな機能を発現する中空粒子!
★様々な材料からの合成報告、各分野での活用にまつわる研究開発を紹介!
★中空粒子の合成、構造と物性、活用に関する情報源となる1冊!

中空粒子の研究開発動向と応用展開
Research Trend and Application Development of Hollow Particles

商品概要
個数

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略称
中空粒子
商品No
bk7940
発刊日
2024年09月26日(木)
ISBN
978-4-7813-1817-2
体裁
B5判、約180ページ
価格
57,200円 (本体価格:52,000円)
送料
当社負担(国内)
発行
(株)シーエムシー出版
問い合わせ
Tel:03-5857-4811 E-mail:[email protected] 問い合わせフォーム
監修
藤 正督
著者
藤 正督   名古屋工業大学 
高井千加   岐阜大学/東北大学 
山本徹也   名古屋大学 
木村邦生   岡山大学 
遊佐真一   兵庫県立大学 
北山雄己哉  大阪公立大学 
原田敦史   大阪公立大学 
岡田友彦   信州大学 
中島佑樹   (国研)産業技術総合研究所 
荻 崇    広島大学 
Kiet Le Anh Cao  広島大学 
大野智也   北見工業大学 
柴 史之   千葉大学 
石井健斗   名古屋工業大学 
齋藤 迅   東北大学 
相澤 花   東北大学 
渡部花奈子  東北大学 
山口日出樹  ㈱KRI 
三ツ石 稔   豊田化工㈱ 
稲田 幹   九州大学 
梅垣哲士   日本大学 
桑原泰隆   大阪大学 
山下弘巳   大阪大学 
上辻靖智   大阪工業大学 
明田重嗣   日本フィライト㈱ 
鈴木哲也   新潟大学  
萩原大生   新潟大学
発刊にあたって
中空粒子は,内部に空間を持つ微小粒子である。そして粒子径やシェル厚みなどにより,中実粒子にはない魅力的な性質をもたらす。例えば空間部分を持つため,軽量化フィラーとして古くから使われている。この場合には空間率が高い方が高性能となるので,粒子径は大きい方が有利である。また,誘電率でも中空内部の空気により誘電率が低くなるため,空間率が高い方が有利である。超断熱が発現しない粒子サイズでは,断熱に関しても大きな粒子径の方が高性能となる。一方で中空粒子を機能性フィラーとして使われる場合には厚みや大きさと言った部材サイズの制限,成形や塗布の視点からのレオロジー的制限,透明性など光学的制約などを満たすために小さな粒子を使わざるを得ない状況が増えている。また,複合材料の目的物性が場所によって不均質になることを避けるため小粒子径が必須となる場合がある。このような背景から,近年では中空粒子の特性を活かしつつサイズダウンが求められることが多くなってきていると感じている。この場合,空間率の低下で失うであろう物性をシェルの組成,構造,密度などで調整する必要がある。各研究開発機関ではこれらのトレードオフの関係を如何にして折り合いをつけるか考えている。一方で,中空粒子をフィラーとして用いるユーザーとしては,これまでの中実粒子フィラーと同じように簡単に分散でき,かつ目的性能が得られることを期待することが多い。しかしながら,中実粒子に比較して構造上脆い中空粒子は機械的分散方法に制限があり,これまでのプロセスと同じ手段で分散を達成することは難しい。中空粒子を入手しても分散できずに困っているという相談をよく受ける。このディスアドバンテージを解決するためには,弱い力で分散できるように,粒子間の付着力を低減させる必要がある。化学的な分散条件を整えるしか解決方法はない。合成者が凝集しない,あるいは再分散しやすい中空粒子にしあげる努力が必要である。一方で,ユーザー側はこれまでのプロセスを見直し,最適な分散手段を検討する覚悟が必要である。以上が小粒子径中空粒子普及に向けて乗り越えるべき技術的課題だと考えている。最後に中空粒子発展への大きなもう一つの課題について記す。それは価格である。これは鶏と卵になっている。メーカーとしては合成量を増やせば当然単価が下がる。しかし,回収可能の目途が無いまま量産化プロセスへ設備投資することは現実的ではない。一方でユーザー側は目的性能が得られることが確認できないと,機能性フィラーとして採用を決められない。まして,どの程度の使用量になるかの試算をすることもできない。中空粒子のメーカーとユーザーの技術的ギャップ,価格的ギャップを埋めることができるかどうかが,中空粒子が単にユニークな素材ということではなく,実用的な材料として普及するかどうかの大きなポイントだと考えている。本書ではこれらの課題を直接解決できる回答を示すことはできないが,現在の中空粒子の情報をなるべく多く集め議論の土台としたいと考えた。本書を手に取って頂いた多くの方に中空粒子の魅力を知って頂くことが,その第一歩だと考えている。そして,中空粒子が大きく羽ばたくことを念願する。皆さんの研究開発促進の道標となり貢献できたなら,本誌を監修した意味があると思っている。末筆に成ったが,中空粒子の研究開発度の同志である執筆者皆様に感謝申し上げる。

本書「巻頭言」より
書籍の内容

第1章 中空粒子の研究動向と展望
1 緒言
2 中空シリカ粒子の優れた特性
 2.1 構造特異性
 2.2 低熱伝導性(断熱性能)
 2.3 光学特性
 2.4 物質内包特性
 2.5 触媒性能
 2.6 耐腐食性
 2.7 その他
3 結言

第2章 中空粒子の合成と構造
1 ソープフリー乳化重合における高分子微粒子の生成,粒子径制御と中空化
 1.1 はじめに
 1.2 ソープフリー乳化重合における高分子微粒子の生成・成長過程
 1.3 ソープフリー乳化重合における高分子微粒子の粒子径制御
 1.4 高分子微粒子の中空化
2 重合誘起型相分離法を用いた芳香族ポリアミド中空微粒子の調製と微粒子のサイズ制御
 2.1 芳香族ポリアミド中空微粒子の調製
 2.2 芳香族ポリアミド中空微粒子のサイズ制御
  2.2.1 中空微粒子サイズに及ぼす濃度と温度の影響
  2.2.2 中空微粒子サイズに及ぼす溶媒の影響
  2.2.3 温度ジャンプ法による中空微粒子サイズの制御
 2.3 まとめ
3 ホスホリルコリン基で覆われた中空粒子の作製
 3.1 はじめに
 3.2 中空ポリマー粒子の合成
 3.3 中空ポリマー粒子のキャラクタリゼーション
 3.4 ゲスト分子の取り込み
 3.5 まとめ
4 微粒子界面光反応を利用した中空高分子微粒子・高分子カプセルの開発
 4.1 はじめに
 4.2 粒子界面光反応を利用した中空高分子微粒子合成法
 4.3 中空粒子のカプセル化と機能化
 4.4 界面光架橋反応における反応波長の長波長化
 4.5 核酸塩基を光反応性部位として利用した刺激応答性高分子カプセルの調製
 4.6 おわりに
5 単峰性のサイズ分布を持つシリカナノカプセルの作製
 5.1 はじめに
 5.2 単峰性のサイズ分布を持つシリカナノカプセル作製手法の概要
 5.3 油中水滴分散型(W/O)エマルションを用いたシリカナノカプセルの作製
 5.4 エマルションテンプレート法による単峰性のサイズ分布を持つシリカナノカプセル作製手法
 5.5 まとめと展望
6 エマルジョンテンプレート法を用いた中空シリカナノ粒子の生成
 6.1 はじめに
 6.2 エマルジョンテンプレート法の中空粒子形成機構
 6.3 PAA 添加量の影響
 6.4 PAA 分子量の影響
 6.5 PAA 分子鎖への架橋構造の導入
 6.6 分散媒の影響
 6.7 おわりに
7 クラフトリグニン由来の中空炭素粒子の作製
 7.1 はじめに
 7.2 クラフトリグニン由来の中空炭素粒子の作製
  7.2.1 粒子製造法
  7.2.2 生成粒子の性状
  7.2.3 粒子生成メカニズム
  7.2.4 製造した炭素粒子の特性
8 テンプレート粒子への無機酸化物のコーティングによる中空粒子の合成
 8.1 はじめに
 8.2 粒子へのコーティング技術の紹介
 8.3 高分子粒子の表面改質
 8.4 テンプレート粒子の除去
 8.5 コーティング層の複合金属酸化物化
 8.6 作製した複合金属酸化物の中空粒子
 8.7 まとめ
9 プルシアンブルー類似体中空微粒子の合成
 9.1 はじめに
 9.2 Mn-PBA中空微粒子の合成
 9.3 Mn-PBA中空微粒子の生成過程
 9.4 Mn-PBA多重シェル中空微粒子の合成
 9.5 まとめ
10 チタニア複合化中空シリカ粒子の合成
 10.1 はじめに
 10.2 白色顔料としての応用を目指したチタニア複合化中空シリカ粒子の合成
  10.2.1 概要
  10.2.2 炭酸カルシウムテンプレートの合成
  10.2.3 中空シリカ粒子の合成
  10.2.4 チタニア被覆中空シリカ粒子の合成
   ⑴ 蒸留水添加量の影響
   ⑵ 反応温度の影響
  10.2.5 白色度の評価
 10.3 光触媒としての応用を目指した中空チタニアナノ粒子の合成
  10.3.1 概要
  10.3.2 シリカテンプレート粒子の合成
  10.3.3 中空チタニア粒子の合成
 10.4 おわりに
11 ナノ粒子を内包した機能性中空カプセルの合成
 11.1 はじめに
 11.2 ナノ粒子を内包した中空カプセルの構造
 11.3 ナノ粒子を内包した中空カプセルの合成方法
 11.4 ナノ粒子を内包した中空カプセルのセンシング材料としての応用
 11.5 ナノ粒子を内包した中空カプセルの触媒材料としての応用
  11.5.1 分子ふるい効果が触媒活性に及ぼす影響
  11.5.2 物質濃縮効果(Void‒confinement effect)が触媒活性に及ぼす影響
 11.6 本稿のまとめと今後の展望

第3章 中空粒子の機能と応用
1 中空ナノ粒子の形成と応用技術
 1.1 はじめに
 1.2 空気複合化粒子としての期待
 1.3 収納空間を提供する粒子としての期待
 1.4 おわりに
2 中空シリカナノ粒子のシェル構造制御とその応用
 2.1 緒言
 2.2 中空粒子合成手法
  2.2.1 テンプレートフリー法
  2.2.2 テンプレート法
   ⑴ 自己テンプレート法
   ⑵ 有機粒子テンプレート法
   ⑶ 無機粒子テンプレート法
   ⑷ 生物テンプレート法
   ⑸ エマルションテンプレート法
   ⑹ 気体テンプレート法
 2.3 中空粒子合成手法の各手法における問題点と現状
  2.3.1 中空粒子合成手法の改善
  2.3.2 PAA/NH4OHエマルションテンプレート法の改善
 2.4 シェル構造制御とその応用
 2.5 結言
3 中空ナノシリカ「バルーンシル®ナノ」の応用技術
 3.1 はじめに
 3.2 ナノ炭酸カルシウム粒子の合成
 3.3 シリカ被覆合成
 3.4 ナノ中空シリカの応用
 3.5 今後の開発目標
4 噴霧熱分解法で作製したCeO2-ZrO2粒子とその特性
 4.1 緒言
 4.2 噴霧熱分解法によるCeO2‒ZrO2の調製と形態,比表面積,結晶相
 4.3 噴霧熱分解法により調製したCeO2‒ZrO2粒子の酸素放出挙動とOSC
 4.4 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)添加効果
 4.5 まとめ
5 中空シリカ膜の空間構造とその機能性
 5.1 はじめに
 5.2 物質拡散制御のための中空膜内空間構造の制御
 5.3 機能性成分のサイズ制御のための中空膜内空間構造の制御
 5.4 物質回収およびその回収物質の化学変換のための中空膜内空間構造の制御
 5.5 おわりに
6 中空シリカナノリアクターの開発
 6.1 緒言
 6.2 PdAg合金ナノ粒子とアミノポリマーを内包した中空シリカナノリアクターによるCO2からのギ酸合成
 6.3 酸化物修飾Ptナノ粒子を内包した中空シリカナノリアクターによるCO2からのCO合成
 6.4 結論
7 中空ナノシリカのポリカーボネート窓へのコーティングと断熱効果
 7.1 はじめに
 7.2 マルチスケール数値解析方法
 7.3 実験方法
  7.3.1 中空シリカの製作とコーティング
  7.3.2 住宅の断熱性能評価試験
 7.4 結果と考察
  7.4.1 中空シリカ含有コーティング層の均質化特性
  7.4.2 積層構造を有するPC窓の熱的特性
  7.4.3 住宅における断熱特性
 7.5 おわりに
8 熱膨張マイクロカプセル・マイクロバルーンとその応用
 8.1 はじめに
 8.2 熱膨張マイクカプセルとは
 8.3  1 発泡剤としてのEXPANCEL
 8.4 膨張済み製品DE/WE
 8.5 EMCマイクロスフィアー
 8.6 さいごに
9 中空粒子を用いたコンクリートひび割れ補修と非破壊検査精度の改善
 9.1 はじめに
 9.2 実験方法
  9.2.1 供試体
  9.2.2 アクティブ法
 9.3 解析方法
  9.3.1  2次元非定常熱伝導シミュレーション
  9.3.2 熱物性値
  9.3.3 熱画像解析
 9.4 結果および考察
  9.4.1 供試体内部の温度特性
  9.4.2 アクティブ法による樹脂充填率評価
  9.4.3 樹脂充填率に応じた供試体内部の熱流束特性
 9.5 おわりに

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