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園家 啓嗣
ソノヤラボ㈱ 代表 / 山梨大学 名誉教授 工学博士、技術士(金属)、
International Welding Engineer (IWE)、環境マネジメントシステム(ISO14001) 審査員補
【経 歴】
1977年 大阪大学大学院 修士課程修了
1977年 石川島播磨重工㈱(現IHI)勤務
2006年 産業技術総合研究所 客員研究員
2007年 芝浦工業大学 教授
2009年 山梨大学 教授
2018年 ソノヤラボ㈱ 代表
【研究歴】
企業、大学で、接合技術(アーク溶接、レーザ溶接、接着、超音波接合、摩擦攪拌等)、表面処理技術(溶射、めっき等)、金属材料、ライフサイクルアセスメント(LCA)などの研究開発を行ってきた。
【所属学会】
溶接学会、溶射学会、表面技術協会
【著 書】
「溶射技術とその応用」「環境圏の新しい燃焼工学」「レーザ加工技術の基礎とその応用」「抵抗スポット溶接技術の基礎とアルミ合金・異材接合への応用」「超音波接合の基礎とアルミニウム合金・異種金属接合への応用」「接着の基礎とその応用」など
切断加工は、建築物、橋梁、鉄道車両、産業機械、船舶などの鋼構造物を製作する時の最初の製造工程である。次の溶接工程では、前行程で切断した部材の寸法精度や切断面品質に不良があると、手直しなどの作業が生じたり、溶接の品質にも悪影響を及ぼす。さらに、その後の組立工程にも少なからず影響を与えることから、鋼構造物の製作において切断加工は非常に重要な工程である。切断加工のほとんどは、主に産業革命以降に開発され、第一次と第二次世界大戦を契機として発達した技術である。電気利用以外の切断の原理は古くから理解されており、特に熱化学的な現象は戦争に応用されて古代から利用されていた。個々の技術は洗練され、切断能力と制御技術は、1970年代の自動化技術の進展により大きく発展した。
切断方法には、刃物を用いた機械的切断と、光や電気、炎を熱源とした熱切断がある。単純形状の切断には機械的切断も用いられるが、複雑な形状の切断には、任意の形状が容易に切断できる熱切断が一般的に使用されており、代表的な熱切断法としてガス切断、プラズマ切断、レーザ切断などが挙げられる。
本書では、各種製品の設計、製造に携わっている技術者、切断関係の仕事をされている技術者、また将来これらの分野に進まれる予定の学生を対象にして、切断加工技術の知識とその応用例について記述した。
今までの出版物は一種類の切断技術について解説したものが多く、各種の切断加工技術を横断的に説明し、切断加工の全体像が理解できる書物はほとんどない。従って、本書では各種の切断加工技術の原理、特徴(長所、短所)、切断品質の比較評価などについて出来るだけ具体的に説明し、切断加工技術全体が容易に理解できるようにした。また、最新の切断加工技術についても説明し、切断加工技術がどのようにして材料や製品に応用されるかを理解できるようにした。全体を通して出来るだけ図や写真および表を使って、視覚的にわかり易くなるように心掛けた。
本書の構成は2章からなっている。
1章では、切断加工技術の重要性、切断加工法の種類などについて説明してある。更に、切断加工技術を機械的切断と熱切断に大別して、それらの特徴について対比して説明している。
2章では、先ず機械的切断について述べた。機械的切断には、せん断、切削、研削およびウォータジェット切断などがあり、それら原理、特徴、適用例などについて説明してある。次に、熱切断について述べた。熱切断には、ガス切断、アーク切断、放電加工、プラズマ切断、および新しい技術としてレーザ切断などがある。ガス切断については、古くから使用されており、その歴史、原理、特徴について述べた。更に、最新のアプリケーションとして水素ガス切断が開発されており、この切断法のメリット等についても説明してある。アーク切断では、その歴史、各種のアーク切断の原理、特徴について説明した。また、溶極式ウォータジェットアーク切断を原子炉部品の水中解体に適用した例についても説明してある。放電加工では、精密加工が可能な型彫り放電加工とワイヤカット放電加工の特徴とその切断性について述べた。プラズマ切断では、その歴史、原理、特徴について説明してある。更に、切断条件が不適切であると、ノズルの損傷、アークを緊縮させるノズルの変形など様々な品質悪化の要因となるなどの課題についても述べた。水中プラズマ切断や最近のアプリケーションである高品質切断についても説明してある。最後に、レーザ切断では、その原理、特徴、レーザ切断機の種類について説明してある。また、レーザによる水中切断への適用、最新の技術であるファイバーレーザ切断機についても切断能力などの特徴を紹介してある。
第1章 切断加工の概要
1. 切断加工の重要性
2. 切断加工の種類
3. 機械的切断と熱切断の対比
第2章 各種切断法
1. 機械的切断
1.1 せん断
(1) せん断の原理と特徴
1.2 切削
(1) 切削の原理と特徴
1.3 研削
(1) 研削の原理と特徴
1.4 ウォータジェット切断
(1) ウォータジェット切断の原理
(2) ウォータジェット切断の特徴
2. 熱切断
2.1 熱切断の種類
2.2 代表的な熱切断の概要
2.3 代表的な熱節切断の切断性能
2.4 ガス切断
(1) ガス切断の歴史
(2) ガス切断の原理と特徴
(3) ガス切断の可能な条件
(4) ガス切断面粗さの形成
(5) ドラグラインの形成
(6) 予熱炎の効果
(a) 切断酸素のシ-ルド効果
(b) 被切断材表面の活性化効果
(c) 被切断材に対する加熱効果
(7) ガス切断に及ぼす要因
(8) 切断に関する品質基準
(9) ガス切断の保安
参考文献
2.5 水素ガス切断(最新のアプリケーション)
(1) 水素ガス切断の特徴
(2) 水素ガス切断の種類
(a) 爆発限界を外すためにLPGガスを混合する手法(水素・酸素混合発生方式)
(b) 水素・酸素完全分離発生方式
参考文献
2.6 アーク切断
(1) アーク切断の歴史
(2) アーク切断の概要
(3) カーボンアーク切断
(4) ミグ(マグ)アーク切断
(5) エアカーボンアーク切断
(6) 溶極式ウォータジェットアーク切断
(a) 原子炉部品の水中解体への溶極式ウォータジェット切断の適用
(7) アークソー切断
(8) 酸素アーク切断
参考文献
2.7 放電加工
(1) 放電加工の歴史
(2) 放電加工の原理
(3) 放電加工の種類
(a) 型彫り放電加工
(b) ワイヤカット放電加工
(4) 放電加工の特徴
(5) 放電加工の切断性
2.8 プラズマ切断
(1) プラズマ切断の歴史
(2) プラズマ切断の原理と特徴
(3) プラズマ切断の課題
参考文献
2.9 レーザ切断
(1) レーザの性質
(2) レーザの種類
(3) レーザ切断の歴史
(4) レーザ切断の原理と特徴
(a) 熱加工
(b) レーザ切断の原理
(c) レーザ切断の特徴
(d) レーザ切断の分類
(e) レーザ切断機の種類
(5) 水中レーザ切断
参考文献
(6) ファイバーレーザ切断(最新のアプリケーション)
(a) ファイバーレーザの特徴
(b) ファイバーレーザ切断機の切断能力
(c) ファイバーレーザの開先切断能力
(7) レーザ切断の保安
参考文献
索引