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永井 順一 氏(ナノフイルム・ラボラトリ代表・工学博士)
【著者略歴】
1977年 東京工業大学院修士課程修了、工学博士(同学1988年)。
旭硝子㈱中央研究所に25年間在籍しガラスへのコーティング技術開発に従事。スマートウインドウ、有機EL(OLED)などの開発を行う。IEAの先進的省エネ窓のプロジェクトに参画し国際貢献。
その後、東京都立大学大学院客員研究員、トッキ㈱R&Dセンター長などを歴任。OLED用バリア形成装置、電子ペーパー用有機半導体印刷装置、光配向膜製造装置、レーザーリペア装置等を海外メーカーと共同開発し、製品化。
2012年に独立。2014年ナノフイルム・ラボラトリを設立し、同代表として現在に至る。
本書は、スマートウィンドウ(Smart Window)の基礎と応用について、筆者がこれまでに講義・講演・執筆してきたことを中心にしてまとめたものです。
スマートウィンドウは、電気・光・熱などの外部からの刺激に応じてその光学的特性が変化するクロモジェニック(Chromo-genic)材料を用いるもので、萌芽的研究は約40年前に始まりました。当時は、そうしたものを調光窓、あるいは調光ガラスということが多く、やがて総称してスマートウィンドウといわれるようになりました。著者はそうした先駆的研究開発に当初から携わり、内外の多くの研究者たちと交流し、研究成果について討議する機会に恵まれ、今日に至っています。
本書は、スマートウィンドウとは(1章)、予備知識:光学、電気化学(2章)、各種スマートウィンドウによる調光(3章)、スマートウィンドウの実用化における課題(4章)、まとめと今後の展望(5章)、引用文献(6章)から構成されます。
この分野は学際的なので、物理・化学・数学などの多くの分野の基礎知識を要しますが、必ずしも読者の方々がそれらの専門家ではないことも鑑み、なるべく本書1冊で他の専門書を参照しなくてもストーリーを理解できるように配慮しました。また、本書で説明した重要な理論や実験結果については、できるだけ原論文・原典を参照し、巻末に文献を章ごとに掲載しました。
スマートウィンドウはいまなお成長している分野ですので、新たに生まれるバリエーションも多く、本書ですべてを紹介することはできませんが、なるべく最新の動向も紹介しました。本書ができるだけ多くの方にご活用いただき、皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。
永井 順一
第1章 スマートウィンドウとは
1.1 スマートウィンドウの役割
1.2 技術動向と社会情勢の変化
1.2.1 1970年代
1.2.2 1980年代
1.2.3 1990年代
1.2.4 2000年代
1.2.5 2010年から今日まで
第2章 予備知識:光学、電気化学
2.1 光の透過・反射・吸収
2.2 制御対象の光の領域
2.3 電気化学
第3章 各種スマートウィンドウによる調光
3.1 電気化学的酸化還元で色を変える
3.1.1 エレクトロクロミック(EC)
3.1.2 ミラー状金属の電析
3.1.3 ECスマートウィンドウの構造
3.2 触媒作用で色を変える
3.2.1 金属水素化物のミラー調光
3.2.2 水素スピルオーバーとWO3によるガソクロミック
3.3 電場で光学特性を変える
3.3.1 PDLC (Polymer Dispersed LC)
3.3.2 ゲスト・ホスト(GH)液晶
3.3.3 サムスン・スマートウィンドウ
3.3.4 SPD (Suspended Particle Device)
(1)NSG社での取り組み
(2)RFI (Research Frontiers Inc.)での取り組み
3.3.5 電気光学的光シャッターPLZT
3.3.6 光で色を変えるフォトクロミック(PC)
(1)フォトクロミックガラス
(2)有機フォトクロミック材料
3.3.7 熱で色を変えるサーモクロミック(TC
(1)VO2薄膜
(2)配位子交換(Ligand Exchange)型:CoCl2の場合
(3)Pleotint社のサーモクロミックウィンド
(4)NSG社のサーモクロミック
第4章 スマートウィンドウの実用化における課題
4.1 スマートウィンドウの実用性能
4.2 スマートウィンドウと省エネ性
4.3 大面積化Scale upと応答性
4.3.1 IRドロップの問題
4.3.2 IRドロップの改善策-傾斜ITO
4.4 耐久性
4.5 低コスト化
4.5.1 透明導電膜
4.5.2 メッシュ電極
4.5.3 誘電体(D)/Ag/誘電体(D)
4.5.4 金属ナノワイヤMetal-NW(Nanowire)
4.5.5 CNT、Graphene
4.5.6 湿式成膜
4.5.7 強磁性体ターゲットの非磁性化
4.5.8 成膜プロセスの改良
4.6 フレキシブルかフラットか
第5章 まとめと今後の展望
第6章 引用文