中田時夫 青山学院大学 理工学部 電気電子工学科 教授
峯元高志 立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 准教授
仁木 栄 (独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 副センター長
Miguel Contreras National Renewable Energy Laboratory Ph.D.
西脇志朗 EMPA(Swiss Federal Laboratories for Material Testing and Research) Laboratory for Thin Films and Photovoltaics Scientist
山田 明 東京工業大学 大学院理工学研究科 電子物理工学専攻 教授
根上卓之 パナソニック(株) 先行デバイス開発センター 主幹技師
Michael Powalla
(※1) Zentrum fur Sonnenenergie-und Wasserstoff-Forschung Baden-Wurttemberg(ZSW) Theresa Friedlmeier,Philip Jackson,Dimitrios Hariskos,Richard Menner,Hans-Dieter Mohring,Wiltraud Wischmann(ZSW)
Jochen Eberhardt,Georg Voorwinden(Wurth Elektronik Research GmbH&Co.KG)
櫛屋勝巳 昭和シェル石油(株) ソーラー事業本部 担当副部長
Lars Stolt Solibro GmbH Solibro Research AB
Bulent M.Basol
(※2) Co-founder and Board Member,SoloPower Inc.
Vijay Kapur Ph.D,MBA Presidennt/CEO ISET
内海健太郎 東ソー(株) 東京研究所 主席研究員
石塚尚吾 (独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 研究員
片桐裕則 長岡工業高等専門学校 電気電子システム工学科 教授
菱川善博 (独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 評価・システムチーム長
寺田教男 鹿児島大学 理工学研究科 電気電子工学専攻 教授
櫻井岳暁 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 講師
秋本克洋 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授
白方 祥 愛媛大学 工学部 教授
数佐明男 (株)ホンダソルテック 代表取締役社長
(※1) Michael Powalla先生の所属名内「fur」「Baden-Wurttemberg」「Wurth」の「u」字には,ウムラウト記号が付きます
(※2) Bulent M.Basol先生の「u」字にはウムラウト記号,「s」字にはセディーユが付きます
現在,CIGS系太陽電池メーカーはベンチャー企業を含め,全世界で20社を超え,2012年の生産能力は2007年末の70MW/年から一挙に3GW/年に拡大すると予測される。他方,First Solar社(米)のCdTe太陽電池モジュールの製造コストが0.7米ドル/Wを切る勢いを見せ,さらに,太陽電池級シリコン材料の供給懸念も緩和されつつあることから,CIGS太陽電池も今後,さらなる高効率化とコストダウンを迫られるのは必至と予想される。
このような状況の中で,我国でも最近CIGS太陽電池分野に興味を持ち,新たに参画しようとする企業,研究機関,大学の研究者や技術者が増加している。欧米に比べ,CIGS太陽電池分野の研究者は極めて少ないのが現状であり,これらの方々への情報提供や育成は,わが国の当該分野での発展にとって極めて重要である。本書の特徴は(1)CIGS太陽電池に特化している点と(2)主な海外の企業,研究機関を含め,グローバル化を図っている点にある。著者はいずれも各分野で世界的に著名な方々である。本書がCIGS関連企業,大学,研究機関の更なる発展と太陽光発電産業の振興の一助となれば幸いである。
(「刊行にあたって」より抜粋)
2010年9月 青山学院大学理工学部 中田時夫
第1章 CIGS太陽電池の基礎
1. CIGSの基礎物性(中田時夫)
1.1 はじめに
1.2 結晶構造
1.3 状態図
1.4 I-III-VI2族化合物の格子定数と禁制帯幅の関係
1.5 光吸収係数
1.6 CuInSe2およびCuGaSe2バルク結晶の基礎的な物性値
1.7 CIGSの固有欠陥と電気特性
1.8 II族(Cd,Zn,Mg)ドーピングによる伝導形制御
2. CIGS太陽電池の特長とセル/モジュール構造(中田時夫)
2.1 はじめに
2.2 CIGS太陽電池の特長
2.3 CIGS太陽電池の構成材料
2.4 CIGS太陽電池の基本構造
2.5 大面積モジュールの構造
3. CIGS太陽電池の現状性能(中田時夫)
3.1 はじめに
3.2 主な太陽電池の現状効率
3.3 小面積セルの現状効率
3.4 大面積CIGSモジュールの現状効率
3.5 フレキシブル太陽電池
4. CIGS太陽電池の動作原理(峯元高志)
4.1 はじめに
4.2 基本動作
4.3 高効率デバイスのバンド図と再結合の低減
4.4 ヘテロ界面のバンドオフセットと動作
4.5 おわりに
5. CIGS太陽電池の高効率化技術(仁木栄)
5.1 はじめに
5.2 小面積セルの高効率化
5.3 集積型サブモジュールの高効率化技術
5.4 まとめ
第2章 CIGS太陽電池の作製プロセス
1. CIGS製膜法とその特長(中田時夫)
1.1 はじめに
1.2 主な企業の製膜法とその特長
1.3 多源蒸着法
1.4 3段階法(Three Stage Process)
1.5 セレン化/硫化法
1.6 ナノ粒子塗布/セレン化法(非真空プロセス)
1.7 ヒドラジン溶液を用いたスピンコート法
2. THREE-STAGE PROCESS AND DEVICE PERFORMANCE OF Cu(In,Ga)Se2 SOLAR CELLS(Miguel Contreras)
2.1 General historical trends in device performance and cell structure
2.2 The CIGS absorber and the three-stage process
2.3 Materials and properties of CIGS obtained from the three-stage process
3. ワイドギャップ系太陽電池(西脇志朗)
3.1 はじめに
3.2 Cu(InGa)Se2系
3.3 Cu(InGa)S2系
3.4 Cu(InGa)(SeS)2系
3.5 Ag(InGa)Se2系
3.6 Cu(InAl)Se2系
4. アクティブソースによるCu(InGa)Se2薄膜の高品質化(山田明)
4.1 はじめに
4.2 アクティブソースの概念
4.3 イオン化Gaを用いたCu(InGa)Se2薄膜の作製
4.4 クラッキングSeを用いたCu(InGa)Se2薄膜の作製
4.5 おわりに
第3章 大面積モジュールの製造技術
1. 蒸着法による高速製膜技術(根上卓之)
1.1 はじめに
1.2 高速製膜技術
1.3 高速製膜技術の今後の展開
2. In-line Co-evaporation of CIGS for Manufacturing(Michael Powalla)
2.1 Introduction
2.2 Basics
2.3 In-line CIGS deposition by co-evaporation
2.4 Optimisation
2.5 Stability and applications
2.6 Outlook
2.7 Acknowledgments
3. セレン化/硫化法によるCIS系光吸収層製膜技術(櫛屋勝巳)
3.1 CIS系光吸収層製膜技術としてのセレン化/硫化法の歴史
3.2 セレン化/硫化法による大面積CIS系光吸収層製膜技術
3.3 セレン化後の硫化法によって製膜されたCIS系光吸収層の特徴
3.4 まとめ
4. The emerging CIGS industry―challenges and opportunities(Lars Stolt)
4.1 Introduction
4.2 The design of CIGS PV modules
4.3 Market introduction of CIGS PV modules
4.4 Other CIGS PV module designs under industrialization
4.5 The opportunity and challenges
4.6 High efficiency
4.7 Production cost
4.8 Materials costs
4.9 Reliability
4.10 Summary
5. Application of Electrodeposition to Fabrication of CIGS Solar Cells and Modules(Bulent M.Basol)
5.1 Introduction
5.2 Experimental Details
5.3 Results and Discussion
5.4 Conclusions
5.5 Acknowledgements
6. Manufacturing “Ink Based” CIGS Solar Cells/Modules(Vijay Kapur)
6.1 Introduction
6.2 Criteria for Process Selection
6.3 ISET's “Ink Based” Process
6.4 Results and Discussions
6.5 Module Fabrication
6.6 Materials' Utilization
6.7 Advantages of ISET's Process
6.8 Manufacturing Cost Estimate
6.9 Acknowledgements
第4章 要素技術
1. スパッタ法による透明導電膜の製造技術(内海健太郎)
1.1 はじめに
1.2 ZAO
1.3 ITO
1.4 円筒ターゲット
2. バッファ層の種類とその役割(中田時夫)
2.1 はじめに
2.2 バッファ層の種類と変換効率
2.3 バッファ層の製膜法と変換効率
2.4 溶液成長法(CBD法)の化学反応
2.5 溶液成長(CBD)法によるpnホモ接合形成
2.6 イオン種反応によるCdSバッファ層の低温エピタキシャル成長
2.7 バッファ層と伝導帯不連続
2.8 バッファ層の格子定数と禁制帯幅
2.9 バッファ層材料に要求される条件
3. Zn(S,O,OH)xバッファ層の作製(櫛屋勝巳)
3.1 Zn(S,O,OH)xバッファ層開発の経緯
3.2 溶液成長法によるZnO膜の製膜
3.3 溶液成長法によるZn(S,O,OH)xバッファ層の製膜
3.4 Zn(S,O,OH)xバッファ層を有するCIS系薄膜太陽電池の作製
4. ASTL法によるNa添加制御とフレキシブルCIGS太陽電池への応用(石塚尚吾)
4.1 Na効果
4.2 ASTL法によるNa添加制御
4.3 フレキシブルCIGS太陽電池への応用
5. CZTSの現状と動向(片桐裕則)
5.1 はじめに
5.2 CZTS薄膜太陽電池の誕生
5.3 SLG/ZnS/Sn/Cuプリカーサの導入
5.4 硫化条件の改善
5.5 新型硫化炉の導入
5.6 プリカーサの積層順の検討
5.7 アニール室付き同時スパッタ装置の導入
5.8 純水リンス効果
5.9 資源量が豊富で無毒性の薄膜太陽電池を目指して
5.10 まとめ
第5章 CIGS太陽電池の評価技術
1. CIGS太陽電池の性能測定技術(菱川善博)
1.1 はじめに
1.2 太陽電池性能評価技術の概要
1.3 測定結果に影響する主な要素
1.4 まとめと今後の課題
2. CIGS太陽電池の電子構造評価(寺田教男)
2.1 はじめに
2.2 逆光電子分光法
2.3 三段階共蒸着法によるCIGS層表面の評価
2.4 CBD-CdS/三段階共蒸着法CIGS界面のバンド接続の評価
3. 電気的手法によるCIGS太陽電池の欠陥評価(櫻井岳暁,秋本克洋)
3.1 はじめに
3.2 アドミッタンススペクトロスコピー法
3.3 光容量過渡分光法
3.4 まとめ
4. 光学的手法によるCIGS太陽電池の評価(白方祥)
4.1 はじめに
4.2 フォトルミネッセンス法
4.3 測定方法
4.4 低温PLスペクトル測定
4.5 CIGS太陽電池のPL評価
4.6 CIGS太陽電池の時間分解PL(TR-PL)
4.7 CIGS太陽電池の光学的マッピング測定
第6章 商業化の課題と将来動向
1. ホンダの太陽電池事業と将来展開(数佐明男)
1.1 はじめに
1.2 ホンダの太陽電池
1.3 ホンダの開発の歴史
1.4 CIGS太陽電池製造フロー
1.5 製品ラインナップ
1.6 ホンダが目指す太陽電池事業とは
2. 商業化の課題と将来動向―ギガワット時代のCIS系薄膜太陽電池―(櫛屋勝巳)
2.1 薄膜太陽電池第1世代,生産量ギガワット(GW)時代へ
2.2 GW時代のCIS系薄膜太陽電池
2.3 まとめ
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