2025年01月28日(火)
10:30~16:30
(株)やまうち七兵衛商会 山内 龍男 氏
〈元 京都大学 農学研究科〉
【講師経歴】
昭和50年 京都大学大学院 農学研究科 博士課程修了、同大学 助手
昭和59年から2年間ニュージーランド Forest Research Institute(現 SCION)で研究
平成7年 京都大学 助教授、准教授を経て平成22年 同大学を退職後、製紙関連企業の顧問を兼ねな がら同大学研究員(紙材料科学研究室)を務める
その後令和3年より㈱やまうち七兵衛商会 代表取締役
【活 動】
昭和55年 紙の空隙構造とラテックス含浸加工に関する研究で農学博士
その他、AE・熱画像法による紙の変形機構、破壊靭性、摩擦、紙の加工、紙リサイクルなど紙の構造と物性を広範に研究
【著 書】
Handbook of Physical and Mechanical Testing of Paper(Marcel Dekker 共著)、紙とパルプの科学(京大出版,単著)、紙の構造 と物性(R&D 支援センター、単著)など多数
非会員:
55,000円
(本体価格:50,000円)
会員:
49,500円
(本体価格:45,000円)
学生:
55,000円
(本体価格:50,000円)
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無断転載、二次利用や講義の録音、録画などの行為を固く禁じます。
製紙業、化学工業、紙関連機械、紙の補助原料メーカーから文具、包装・容器、印刷、不織布、コピーやプリンターを含む紙搬送機器、試験機、 高分子材料
紙は金属やプラスチック材料とは異なる材料であり、その相異点や紙材料が如何なるものか、またその物性と、さらにそれと関連する紙の構造を基礎的かつ広範に知ることで、紙材料の理解を深める。
現在我々の周囲にある材料は、鉄やアルミ等の金属類、ガラスを主とする無機系材料、紙およびプラスチックの有機系材料である。その中で紙は鉄よりは新しいが、プラスチックよりは格段に古い,約二千年の歴史を有する材料である。近代製紙産業は、蒸気機関に始まるエネルギー革命と共に発展してきたのだが、地球に埋蔵された石炭・石油を利用するエネルギー革命はまた同時に地球温暖化を引き起こした。今後、この温暖化を止めるには、埋蔵炭素資源でなく、循環炭素資源である木材を、さらにそれを繊維原料とする紙を上手く利用することが肝要になる。
紙は、かつて印刷・情報媒体としての利用が大半であったが、最近は、物流・包装関連用途が急拡大している。他方石油製品でもあるプラスチックはマイクロプラスチックなど環境問題も引き起こし、今や脱プラとして紙容器の開発が盛んである。今日のSDGs社会ではリサイクルも望まれるが、紙材料はその点でも際立った優等生である。
本セミナーは、紙系材料を開発・利用するために不可欠な、紙の構造と物性の理解を目的とするのだが、材料としての紙の基礎知識から、その広範な物性を詳しく説明し、紙加工に向けた物性研究の動向と展望についても述べる。
1.はじめに
1-1 紙の歴史・変遷
1-2 紙パ産業の特徴 とくに紙のリサイクル特性(廃プラのリサイクルは難しい)
1-3 原料としての木材、その化学成分
1-4 パルプの種類と漂白
1-5 抄紙工程
2.紙の構造
2-1 マクロから見た構造、ミクロから見た構造 (三次元観察)
2-2 坪量、厚さとその評価法
2-3 構造と物性における不均一性
2-4 不均一性の1例:地合い
2-5 表面構造(粗さ)とその評価法
2-6 内部構造(空隙構造)とその評価法
3.紙の物性
3-1 光学物性とその評価法
3-2 多孔物性(サイズ性、透過性等)とその評価法
3-3 力学物性とその評価法 [単繊維試験を含む]
3-4 感性的性質(含、摩擦、)とその評価法
3-5 水分の影響
4.紙の複合加工
4-1 塗工
4-2 含浸
4-3 貼り合わせ
5.3次元化する紙系材料
5-1 段ボール
5-2 紙袋
5-3 紙管
5-4 液体容器
5-5 紙器
5-6 モールド
6.プラ代替を目指して(既存技術の応用)
6-1 伸展性の向上
6-2 透明性の向上紙
6-3 バリアー性の向上
7.おわりに
7-1 紙系材料研究開発の進め方
7-2 試験法、参考書
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