根日屋英之 (株)アンプレット 本社 代表取締役
加納 唯 拓殖大学 工学部 電子情報工学専攻
前山利幸 拓殖大学 工学部 電子システム工学科 准教授
二木祥一 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) 第二法人営業本部 u-Japan推進部 担当課長
田中稔泰 マイクロウェーブ ファクトリー(株) 代表取締役
大木哲史 早稲田大学 理工学研究所 次席研究員
松木英敏 東北大学大学院 医工学研究科 医工学専攻 教授
横尾兼一 アルプス電気(株) HM&I事業本部 第2商品開発部 第1グループ グループマネージャー
柏 公一 東京大学医学部附属病院 医療機器管理部 臨床工学技士 人工心肺担当主任
中嶋信生 電気通信大学 総合情報学専攻 教授
川島 信 中部大学 工学部 情報工学科 教授
佐生誠司 旭化成イーマテリアルズ(株)
可部明克 早稲田大学 人間科学学術院 教授
木下泰三 (株)日立製作所 情報・通信システム社 ワイヤレスインフォ統括本部 統括本部長
曽根廣尚 (株)オネスト 事業企画部 フェロー
外村孝史 早稲田大学 理工学術院 総合研究所 客員研究員
上原康滋 (財)横須賀市産業振興財団 横須賀市産学官コーディネーター
畠山信一 アドソル日進(株) エンベデッド・ソリューション事業部
安田昭一 マイクロテック(株) 開発部 部長
人体を伝送媒体として通信を行う人体通信に注目が集まっています。人体通信は個人認証や情報通信のみならず,ウェアラブル・コンピューティング,センサ・ネットワーク,医療,ヘルスケアなど,広い分野での応用が期待されています。
人体通信は明確な定義がありません。本書では人体の体表で通信が行われる電界方式,電流方式,超音波方式,および,人を中心として3m程度をカバーする無線通信のUHF帯電磁波方式,WBAN(wireless body area network)を総称して人体通信と定義します。
本書は第1編「人体通信の基礎」と第2編「人体通信のアプリケーション」から構成されています。第1編「人体通信の基礎」では,人体通信の概要,市場動向,規格動向,人体通信の種類,要素技術,模擬人体(ファントム),セキュリティ,人体に対する安全性について解説します。第2編「人体通信のアプリケーション」では,人体通信技術をすでに導入されている,または,今後,導入の検討を行っている大学,企業,行政の方々にその概要をご紹介いただきます。
<第1編 人体通信の基礎>
第1章 概要(根日屋英之)
1.人体通信とは
2.市場動向
2.1 国内企業の取り組みの歴史
2.2 人体通信を情報通信端末として用いる市場
2.2.1 電界方式
2.2.2 電流方式
2.2.3 弾性波方式(超音波方式)
2.2.4 WBANとしての人体通信(UHF帯電磁波方式)
2.3 人体通信の医療,ヘルスケアへの応用
2.4 人体通信用部品の市場予測
3.規格動向
3.1 電界方式人体通信
3.2 電流方式
3.3 超音波方式
3.4 WBANとしての人体通信(電磁波方式)
第2章 人体近傍の人体通信
1.電界方式(根日屋英之)
1.1 はじめに
1.2 電界方式人体通信の動作
1.3 電極と人体や大地との容量結合
1.4 人体近傍の電界
1.5 低消費電力の技術
1.6 米粒サイズの試作人体通信送信モジュール
2.電流方式(加納唯)
2.1 電流方式とは
2.2 電流方式の利点
2.3 電流方式の課題
2.4 電流方式の具現化例
2.4.1 パナソニック電工
2.4.2 KDDI/電通大
3.超音波方式(前山利幸)
3.1 はじめに
3.2 弾性波方式
3.3 伝送システム
3.3.1 圧電素子
3.3.2 音響ファントム
3.3.3 伝送実験
3.3.4 人体への超音波入射方法
3.3.5 超音波の斜め入射実験
第3章 WBANとしての人体通信(電磁波方式)(二木祥一)
1.WBAN(Wireless Body Area Networks)
2.Bluetooth
3.ZigBee
4.IEEE802.15.6(BAN)
5.その他の近距離無線通信
5.1 ANT
5.2 Sensium
第4章 要素技術(根日屋英之)
1.変調方式
1.1 アナログ変調とディジタル変調
1.2 搬送波を変調する
1.3 ディジタル情報を一度に複数送る多値変調
2.双方向通信
2.1 単信と複信
3.雑音対策
3.1 雑音に強い広帯域通信
3.2 スペクトラム拡散方式
3.3 スペクトラム拡散方式の特徴のまとめ
4.多元接続技術
4.1 FDMA(周波数分割多元接続)方式
4.2 TDMA(時分割多元接続)方式
4.3 CDMA(符号分割多元接続)方式
4.4 OFDMA(直交周波数分割多元接続)方式
5.電極とアンテナの設計
5.1 アンテナから電磁波が放射されるメカニズムと電波伝搬
5.2 電界方式人体通信の電極
5.3 電界方式人体通信受信機の電極最適化
5.4 電流方式人体通信の電極設計
5.5 超音波方式人体通信の電極設計
5.6 UHF帯電磁波方式人体通信のアンテナ設計
6.測定技術
6.1 人体通信送信機の発射電波の質
6.2 人体通信受信機不要輻射の測定
6.3 アナログ人体通信受信機の評価
6.4 人体通信受信機の雑音指数
6.5 ディジタル人体通信の評価
6.6 人体通信を行うときの人体の周波数特性
6.7 人体に流れる電流の測定
第5章 人体通信用ファントム(田中稔泰)
1.ファントムの概要
2.人体通信用ファントム
3.ファントムの種類
3.1 リキッドタイプ
3.2 ジェル(ゲル)タイプ
3.3 セミハードタイプ
3.4 ウレタンタイプ
3.5 ソリッドタイプ
第6章 人体通信のセキュリティ(大木哲史)
1.はじめに
2.人体通信の通信モデル
3.人体通信におけるセキュリティ上の脅威
3.1 盗聴
3.2 データの改ざん
3.3 データの挿入
3.4 中間者攻撃
3.5 データの漏えい
4.脅威に対する対策
4.1 盗聴
4.2 データの改ざん
4.3 データの挿入
4.4 中間者攻撃
4.5 データの漏洩
5.人体通信における本人認証技術
5.1 可搬型カード認証
5.2 多要素認証による安全な人体通信
5.3 パスワード認証との組み合わせ
5.4 生体認証との組み合わせ
5.5 生体認証におけるテンプレートの保護
5.6 クライアント・サーバの認証モデル
第7章 人体に対する安全性(松木英敏)
1.はじめに
2.生体影響の考え方
3.ICNIRPガイドライン
3.1 100kHzまでの低周波電磁界
3.2 100kHzを超える高周波電磁界
3.3 静磁界に対するガイドライン
<第2編 人体通信のアプリケーション>
第8章 電界式人体通信モジュールの開発―伝える 新・技術「人体通信」―(横尾兼一)
1.概要
2.電界通信の位置付け
3.開発の背景
4.通信方式とモジュール開発
4.1 通信方式
4.2 モジュール開発の遷移
4.3 モジュールの構成(ブロック図)
4.4 モジュールに実装されているソフトウェア
5.電界通信に関する取り組み
5.1 評価キット及び評価サンプル
5.2 電界のシミュレーション
5.3 微弱無線設備性能証明
第9章 医療分野への応用
―植込み型補助人工心臓装着患者の在宅遠隔モニタリングの必要性と人体通信技術を用いたモニタリングシステムの構想について―(柏 公一)
1.はじめに
2.VAD治療とは?
3.VAD装着患者の在宅療養における問題点
4.人体通信技術を用いたモニタリング装置
第10章 人体通信とナビゲーション(中嶋信生)
第11章 同軸マルチコアPOFを用いた光回転リンクジョイント(川島 信,佐生誠司)
1.はじめに
2.外部条件
2.1 光RLJに対するニーズ
2.2 基本機能条件
2.3 要求性能
3.光回転リンクジョイントの構成法
3.1 光RLJの基本構造
3.2 同軸マルチコアPOFの概要
3.3 同軸マルチコアPOFを用いた光回転リンクジョイントの構成
4.同軸マルチコアPOFによる双方向デジタル 伝送系の諸特性
4.1 同軸マルチコアPOFの幾何学的相対位置と伝送特性の関係
4.2 幾何学的相対位置と層間干渉特性
4.3 デジタル伝送特性
5.同軸マルチコアPOFによる光伝送系設計法に関わる理論的考察
5.1 突合せ構造POFの伝送損失の理論的導出
5.2 同軸マルチコアPOFの突合せ間隙距離
6.光RLJの試作と高精細カメラを結合した監視モニタシステムの構築
第12章 人体通信の介護ロボットへの応用(可部明克)
1.ヒューマンサービスロボットとの親和性
2.介護・福祉ロボットと人体通信の融合による市場拡大の可能性
2.1 経済情勢と新たな産業モデルの創造
2.2 ヒューマンサービスロボットの役割
―20世紀型のオートメーションから21世紀型のオートメーションへ―
2.3 介護・福祉ロボットの多様なニーズと専用アプリケーション候補例
3.ロボットへの応用検討と試作事例
3.1 「赤ちゃん型ロボット:herby」
3.2 パンダ型ロボット
3.3 応用分野の広がり
第13章 ヘルスケアとの融合(木下泰三)
1.はじめに
2.無線センサネットのヘルスケア応用
2.1 ヘルスケアと無線センサネット
2.2 ネットヘルスケア応用市場
2.3 医療,ヘルスケア用無線システム
2.4 ZigBee無線システム
3.リストバンド型ヘルスケアセンサ
3.1 第1世代腕時計型センサ
3.2 第2世代腕時計型センサ
4.万歩計型センサ
4.1 メタボレンジャー
4.2 健康管理アプリケーション
5.将来期待できるアプリケーション
5.1 作業員の安全
5.2 自動車居眠り運転
5.3 電子トリアージ
5.4 カプセル内視鏡,心電計,イヤリングセンサ
第14章 植物(農業)と人体通信(曽根廣尚)
1.植物(人体)通信の定義
2.植物の情報交換システム
3.植物・樹木の生体電位計測による地震の観測
4.根の接地抵抗
5.Voltree Power社の樹木を利用したバイオエネルギー電池
6.茎内流量測定による蒸散速度の計測
7.未来の植物通信アプリケーション
第15章 産学連携―人体通信の医療福祉分野からモノづくりへの応用(外村孝史)
1.人体通信を用いた高齢者向け健康支援システム
1.1 高齢者向け健康支援システムの概要
1.2 超高齢化社会と健康都市
1.3 人体通信と音声認識/合成技術で高齢者の認知症の発症を防ぐ
1.4 人体通信機能がセンサーとしての役割
1.5 高齢者向けコミュニケーションツールの開発
2.人体通信のモノづくりへの応用
2.1 ロボットでの人体通信の応用
2.2 航空機での人体通信の応用
第16章 人体通信の産学連携における私的考察(上原康滋)
1.横須賀市産学官連携推進事業について
2.人体通信技術への全般的な期待
3.人体通信技術への横須賀市からの期待
第17章 電界通信『タッチタグR』システム(畠山信一)
1.はじめに
2.電界通信『タッチタグR』とは?
3.『タッチタグR』の特長
3.1 タッチパネル型電極
3.2 床マット型電極
3.3 ドアノブ型電極
3.4 椅子型電極
4.タッチタグR導入事例
4.1 人体通信エントランスシステム/TH
4.2 エコオフィスへの適用事例
4.3 MRI検査室安全管理システム
4.4 動物管理棟入退管理システム
第18章 カスタムメイド人体通信(安田昭一)
人体通信,医療,セキュリティ,電界,アプリケーション,本,書籍