早川享志 岐阜大学 応用生物科学部 教授
糸川嘉則 仁愛大学 学長
渡邊敏明 兵庫県立大学 環境人間学部 学部長・大学院研究科長
澤村弘美 兵庫県立大学 環境人間学部 助手
渡辺恭良 (独)理化学研究所 分子イメージング科学研究センター センター長;大阪市立大学 大学院医学研究科 システム神経科学 教授
犬塚 學 仁愛大学 人間生活学部 健康栄養学科 教授
榎原周平 兵庫県立大学 環境人間学部 助教
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学 保健衛生学部 医療栄養学科 准教授
柴田克己 滋賀県立大学 人間文化学部 生活栄養学科 教授
森脇久隆 岐阜大学 大学院医学研究科 消化器病態学 教授
中西憲幸 HMN赤坂クリニック
石神昭人 東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム 分子老化制御 研究副部長
久保寺登 活性型ビタミンD誘導体研究所;(元)中外製薬(株)
阿部皓一 エーザイ(株)エーザイジャパン CJ部ビタミンE情報室 担当部長;芝浦工業大学 システム工学部 生命科学科 非常勤講師
中川公恵 神戸薬科大学 衛生化学 講師
青山勝彦 オルト(株) 代表取締役
木村忠明 (株)ヘルスビジネスマガジン社 代表取締役会長
渭原 博 東邦大学 医療センター大橋病院 臨床検査部 技師長
橋詰直孝 和洋女子大学 家政学群 生活科学系 教授
鳴瀨 碧 仁愛大学 人間生活学部 健康栄養学科 講師
平池秀和 帝京短期大学 生活科学科 生活科学専攻 教授
西野輔翼 立命館大学 立命館グローバルイノベーション研究機構 教授;京都府立医科大学 特任教授
瀧谷公隆 大阪医科大学 小児科 講師
玉井 浩 大阪医科大学 小児科 教授
池田涼子 仁愛大学 人間生活学部 健康栄養学科 講師
浦野四郎 芝浦工業大学 生命科学科 生化学研究室 教授
高津博勝 Industrial University of Selangor Japanese Associate Degree
本書の編集にあたって,ビタミンはミネラルに比較して研究の歴史も古く,多くの研究があり莫大な書物が出版されているので,「いかに特徴ある書物にするか」ということを念頭において章建てを考えた。
第1章「ビタミンの基礎知識」では第2章以下の問題を理解するために必要な基礎知識のみに絞り執筆していただいた。第2章の「新しいビタミン機能」ではこれまで余り学会などで取り上げられなかった新しい機能や従来重要視されていなかったものが,近年になってその重要性が新たに判明してきた問題などにも触れていただいた。疲労,遺伝子など研究の最先端にある問題も取り上げられている。第3章は食品について特に項目を設けて,実際に食物を摂取する際に役に立つと考え,この分野における権威に執筆を依頼した。第4章は第3章の食品と対比して,もう一つのビタミンの補給方法である薬剤に関する諸問題について7節に分けて執筆していただき,極めて多彩で,類書にみられない特徴的な章になっている。第5章はビタミンの検査・栄養状態の判定について実際に現在も研究をしており,実績を出している研究者に執筆していただいた。第6章の「疾患とビタミン」は多彩であり,執筆者によりバラエティがあるが,それぞれ個性があり,読み物として読者に興味を持たせる章になったのではないかと期待している。
本書により読者諸氏が新しいビタミン科学を理解され,実際に活用していただければ編者として大きな喜びとなる。要求に応えていただいた執筆者各位に対し,深甚の謝意を表する次第である。
(「はじめに」より抜粋)
第1章 ビタミンの基礎知識
1 ビタミン発見の歴史(早川享志)
1.1 はじめに
1.2 東洋における脚気の蔓延とビタミンB1の発見
1.3 西洋におけるペラグラの蔓延とナイアシンの発見
1.4 ビタミンCの発見とビタミンのA,B,C
1.5 その他のB群ビタミンの発見
1.6 脂溶性ビタミンの発見
1.7 脚気とビタミンの発見
2 ビタミンの定義と必要量・摂取量(糸川嘉則)
2.1 ビタミンの定義
2.2 ビタミンの必要量
2.3 ビタミンの摂取量
3 ビタミン様作用物質(渡邊敏明,澤村弘美)
3.1 ユビキノン
3.2 リポ酸
3.3 コリン
3.4 イノシトール
3.5 カルニチン
3.6 オロト酸
3.7 p-アミノ安息香酸
3.8 ビタミンP
3.9 ビタミンU
3.10 ピロロキノリンキノン
3.11 パンガミン酸
3.12 ビオプテリン
第2章 新しいビタミンの機能
1 ビタミンと疲労(渡辺恭良)
1.1 疲労とは? 疲労の研究進展と解明されてきたメカニズム概説
1.2 疲労の計測とバイオマーカー
1.3 疲労動物モデルを用いた研究
1.4 抗疲労食品素材の開発
1.5 ビタミンと疲労
1.6 まとめ
2 遺伝子に働く脂溶性ビタミン:先天性代謝異常症の遺伝子診断への応用(犬塚 學)
2.1 はじめに
2.2 ビタミンDの働きとしくみ
2.3 活性型ビタミンD3の先天性代謝異常症の遺伝子診断への応用
2.3.1 フルクトース 1,6-ビスフォスファターゼ(FBPase)欠損症(OMIN #229700)
2.3.2 活性型ビタミンD3によるフルクトース 1,6-ビスフォスファターゼ(FBPase)遺伝子の発現誘導
2.3.3 FBPase欠損症の遺伝子診断法の確立と臨床応用
2.3.4 脂溶性ビタミンによるヒトFBPase 遺伝子の転写誘導メカニズムの解明
2.4 おわりに
3 葉酸の機能(榎原周平,渡邊敏明)
3.1 はじめに
3.2 葉酸の吸収,輸送,排泄
3.3 葉酸の生化学的機能
3.4 葉酸の生理機能と欠乏症
3.5 葉酸の分析法
4 ビタミンC(アスコルビン酸)による食中毒原因菌検出への応用(翠川 裕)
4.1 はじめに
4.2 アスコルビン酸の抗菌活性
4.3 アスコルビン酸のサルモネラ硫化水素産生に及ぼす影響
4.3.1 通常のサルモネラ分離
4.3.2 MY現象および,ミドリングの発見
4.3.3 MY現象におけるサルモネラの特異性
4.3.4 ラオスにおけるアスコルビン酸を用いたサルモネラの検出調査
4.3.5 ラオス市場における食品衛生の現状
4.4 まとめ
第3章 食品とビタミン(柴田克己)
1 食品中のビタミンの形態とヒトにおける消化・吸収・貯蔵ならびに食品中のビタミン測定方法
1.1 脂溶性ビタミン
1.1.1 ビタミンA
1.1.2 ビタミンD
1.1.3 ビタミンE
1.1.4 ビタミンK
1.2 水溶性ビタミン(B群ビタミン)
1.2.1 ビタミンB1
1.2.2 ビタミンB2
1.2.3 ビタミンB6
1.2.4 ビタミンB12
1.2.5 ナイアシン
1.2.6 パントテン酸
1.2.7 葉酸
1.2.8 ビオチン
1.3 水溶性ビタミン(ビタミンC)
2 食品の貯蔵・加工・調理過程におけるビタミンの損失
2.1 脂溶性ビタミン
2.1.1 ビタミンA
2.1.2 ビタミンD
2.1.3 ビタミンE
2.1.4 ビタミンK
2.2 水溶性ビタミン(B群ビタミン)
2.2.1 ビタミンB1
2.2.2 ビタミンB2
2.2.3 ビタミンB6
2.2.4 ビタミンB12
2.2.5 ナイアシン
2.2.6 パントテン酸
2.2.7 葉酸
2.2.8 ビオチン
2.3 水溶性ビタミン(ビタミンC)
3 ビタミンの良好な供給源
3.1 脂溶性ビタミン
3.1.1 ビタミンA
3.1.2 ビタミンD
3.1.3 ビタミンE
3.1.4 ビタミンK
3.2 水溶性ビタミン(B群ビタミン)
3.2.1 ビタミンB1
3.2.2 ビタミンB2
3.2.3 ビタミンB6
3.2.4 ビタミンB12
3.2.5 ナイアシン
3.2.6 パントテン酸
3.2.7 葉酸
3.2.8 ビオチン
3.3 水溶性ビタミン(ビタミンC)
4 食事中のビタミンの生体利用率
4.1 脂溶性ビタミン
4.1.1 ビタミンA
4.1.2 ビタミンD
4.1.3 ビタミンE
4.1.4 ビタミンK
4.2 水溶性ビタミン(B群ビタミン)
4.3 水溶性ビタミン(ビタミンC)
第4章 薬剤・サプリメントとビタミン
1 ビタミンA誘導体の開発(森脇久隆)
1.1 はじめに
1.2 ビタミンA誘導体開発の歴史
1.3 実地臨床におけるビタミンA誘導体の効果
1.4 ポリエン骨格を持つレチノイド
1.5 芳香族レチノイド
1.6 レキシノイド
1.7 アンタゴニスト
1.8 おわりに
2 ビタミンB12誘導体の開発(中西憲幸)
2.1 はじめに
2.2 生体内に存在する4種類のビタミンB12
2.3 4種類のビタミンB12の開発と臨床応用
2.4 メチルB12の開発とメチル水銀問題
2.5 メチルB12は末梢性神経障害治療剤
2.6 メチルB12の臨床応用
2.6.1 乏精子症の精子数を改善
2.6.2 睡眠覚醒リズム障害のリズムを同調
2.6.3 認知症の知的機能を改善
2.7 最近のトピックス
2.7.1 ALSに対するメチルB12の研究
2.7.2 動脈硬化のリスクファクター―ホモシステイン―
2.8 おわりに
3 ビタミンC誘導体の開発(石神昭人)
3.1 ビタミンCの化学構造
3.2 ビタミンCの立体異性体,エリソルビン酸
3.3 水溶液中でのビタミンCの解離
3.4 ビタミンCの還元力
3.5 ビタミンCの再生
3.6 ビタミンC誘導体
3.7 ビタミンC誘導体の皮膚への浸透性
3.8 ビタミンC誘導体のコラーゲン遺伝子発現促進効果
3.9 食品添加物としてのビタミンCおよびビタミンC誘導体
3.10 今後のビタミンC誘導体の開発
4 ビタミンD誘導体の開発(久保寺登)
4.1 はじめに
4.2 第一の節目におけるビタミンDの生理的意義の発見
4.3 第二の節目における活性型ビタミンDの発見と臨床応用
4.4 第三の節目における活性型ビタミンD誘導体の創薬研究
4.5 おわりに
5 ビタミンE誘導体の開発(阿部皓一)
5.1 ビタミンEの概要
5.2 ビタミンE誘導体の種類
5.3 ビタミンE誘導体の生物活性・国際単位
5.4 ビタミンE誘導体の物性
5.5 ビタミンE誘導体の吸収
5.6 注目される誘導体
5.6.1 コハク酸エステル
5.6.2 リン酸エステル
5.6.3 ジメチルグリシン誘導体
5.6.4 モノグルコシド
5.6.5 その他の誘導体
5.7 おわりに
6 ビタミンK2誘導体の開発(中川公恵)
6.1 はじめに
6.2 ビタミンKの化学構造
6.3 ビタミンKの体内分布
6.4 ビタミンKサイクル
6.5 ビタミンKの生理作用
6.5.1 血液凝固に対する作用
6.5.2 血管石灰化に対する作用
6.5.3 骨に対する作用
6.6 メナキノン-4の生合成
6.7 メナキノン-4生合成の生物学的意義
6.8 ビタミンK製剤・ビタミンKサプリメント・保健機能食品
6.9 おわりに
7 マーケティングとビタミン
7.1 ビタミンサプリメントの黎明(青山勝彦)
7.1.1 マーケティングとビタミンという表題
7.1.2 ビタミンサプリメントとは何か
7.1.3 ビタミンサプリメント―わが国では
7.1.4 ビタミンサプリメントの黎明―渡辺正雄らの功績を中心に
7.1.5 サプリメントが何故必要とされるのか
7.1.6 ノーベル賞受賞者,ポーリング博士のVC大量投与
7.1.7 ウィリアムズ教授の「完全栄養」
7.1.8 ウィリアムズ博士の「保健量」
7.1.9 渡辺正雄とビタミンB群サプリメントの開発
7.2 サプリメントマーケットの展開と未来(木村忠明)
7.2.1 再び伸びに転じた健康食品市場
7.2.2 通販の伸びが市場の伸び支える
7.2.3 ベーシックなビタミンサプリ
7.2.4 ビタミンサプリが市場形成された理由
7.2.5 日米の産業形成にも大きな影響
7.2.6 "栄養補助食品"の登場
7.2.7 ビタミンEに製粉企業など大手が参入
7.2.8 西武のバイタミンショップ
7.2.9 健康食品の規格基準づくり
7.2.10 アメリカで制度化の動き
7.2.11 日本で機能性食品からトクホへ
7.2.12 抗酸化・抗炎症機能の時代へ
7.2.13 栄養補助食品企業に新たな時代が
7.2.14 テレビ発の健康食品ブームとドラッグストア
7.2.15 ネットワークビジネスが拡大
7.2.16 通販の価格破壊と健康食品の大衆化
7.2.17 栄養補助食品にも効果表示が
7.2.18 医療への健康食品の利用へ
7.2.19 注目されるビタミンの効果
7.2.20 2030年には6000億円市場にも
第5章 ビタミンの検査・栄養状態の判定(渭原 博,橋詰直孝)
1 はじめに
2 ビタミンB1
2.1 血液の検査
2.2 血清の検査
2.3 尿の検査
2.4 関連する検査
3 ビタミンB2
3.1 血液の検査
3.2 血清の検査
3.3 尿の検査
3.4 関連する検査
4 ビタミンB6
4.1 血液の検査
4.2 血清の検査
4.3 尿の検査
4.4 関連する検査
5 ビタミンB12
5.1 血液の検査
5.2 血清の検査
5.3 尿の検査
5.4 関連する検査
6 葉酸
6.1 血液の検査
6.2 血清の検査
6.3 尿の検査
6.4 関連する検査
7 ナイアシン
7.1 血液の検査
7.2 血清の検査
7.3 尿の検査
7.4 関連する検査
8 パントテン酸
8.1 血液の検査
8.2 血清の検査
8.3 尿の検査
9 ビオチン
9.1 血液の検査
9.2 血清の検査
9.3 尿の検査
9.4 関連する検査
10 ビタミンC
10.1 血液の検査
10.2 血清の検査
10.3 尿の検査
11 ビタミンA
11.1 血液の検査
11.2 血清の検査
11.3 尿の検査
11.4 関連する検査
12 ビタミンD
12.1 血液の検査
12.2 血清の検査
12.3 尿の検査
12.4 関連する検査
13 ビタミンE
13.1 血液の検査
13.2 血清の検査
13.3 尿の検査
13.4 関連する検査
14 ビタミンK
14.1 血液の検査
14.2 血清の検査
14.3 尿の検査
14.4 関連する検査
第6章 疾患とビタミン
1 ビタミン欠乏症(糸川嘉則)
1.1 ビタミン欠乏症とは
1.2 ビタミン欠乏症
1.2.1 水溶性ビタミン欠乏症
1.2.2 脂溶性ビタミン欠乏症
2 ビタミン過剰症(鳴瀨 碧,平池秀和)
2.1 はじめに
2.2 脂溶性ビタミン
2.2.1 ビタミンA
2.2.2 ビタミンD
2.2.3 ビタミンE
2.2.4 ビタミンK
2.3 水溶性ビタミン
2.3.1 ビタミンB1
2.3.2 ビタミンB2
2.3.3 ナイアシン
2.3.4 パントテン酸
2.3.5 ビタミンB6
2.3.6 葉酸
2.3.7 ビタミンB12
2.3.8 ビオチン
2.3.9 ビタミンC
3 癌とビタミン(西野輔翼)
3.1 はじめに
3.2 ビタミンA,レチノイド,カロテノイド
3.3 ビタミンD
3.4 ビタミンE
3.5 ビタミンK
3.6 ビタミンC
3.7 ビタミンB2
3.8 ビタミンB6
3.9 ビタミンB12
3.10 葉酸
3.11 ナイアシン
3.12 ビタミン様物質
3.13 おわりに
4 循環器疾患とビタミン(瀧谷公隆,玉井 浩)
4.1 ビタミンAと循環器疾患
4.1.1 ビタミンAの機能・代謝
4.1.2 ビタミンAと先天性心疾患
4.2 ビタミンB群および葉酸と循環器疾患
4.2.1 ビタミンB群,葉酸とホモシステイン
4.2.2 ホモシステインと循環器疾患
4.3 ビタミンEと循環器疾患
4.3.1 ビタミンEの機能・代謝
4.3.2 ビタミンEと循環器疾患の発症予防
4.4 ビタミンKと循環器疾患
4.4.1 ビタミンKの機能・代謝
4.4.2 ビタミンKと循環器疾患
5 ビタミンAと糖尿病―インスリン抵抗性と脂肪細胞分化抑制―(池田涼子)
5.1 背景
5.2 RBPのインスリン抵抗性促進作用
5.3 ビタミンAによるエネルギー代謝調節
6 老化とビタミン(浦野四郎,高津博勝)
6.1 はじめに
6.2 老化の要因を説明する学説
6.3 老化をもたらす生体の酸化損傷とビタミンEによる防御
6.4 老化と酸化ストレスによる認識機能障害とビタミンEによる防御
6.5 老化にともなう認識機能低下をビタミンで改善させる研究状況
6.5.1 食物摂取による認識機能改善
6.5.2 脂溶性ビタミンによる認識機能改善
6.5.3 水溶性ビタミンによる認識機能改善
6.6 おわりに
栄養,疲労,薬剤・サプリメント,誘導体開発,欠乏症,過剰症,癌,循環器疾患,糖尿病,老化,書籍,本