書籍(白黒)版:65,000円(+税)
★書籍(白黒)& CD(カラー)セット価格:75,000円(+税)
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下村政嗣 千歳科学技術大学 理工学部 応用化学生物学科 教授
斉藤一哉 東京大学 生産技術研究所 助教
劉 浩 千葉大学 大学院 工学研究科 教授
中田敏是 千葉大学大学院 工学研究科 特任教授
池田旭彰 千葉大学大学院 工学研究科 客員研究員
野田龍介 香港科学技術大学 工学部 ポスドク研究員
野村周平 国立科学博物館 動物研究部 研究主幹
針山孝彦 浜松医科大学 医学部 教授
枝廣雅美 ㈱島津製作所 分析計測事業部
小林元康 工学院大学 工学部応用化学科 教授
平井悠司 千歳科学技術大学 理工学部応用化学生物学科 専任講師
奥田直人 千歳科学技術大学 大学院 光科学専攻
松尾行雄 東北学院大学 教養学部 情報科学課 教授
緒方是嗣 ㈱島津製作所 分析計測事業部
中田 隆 京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻
木村有希 京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻
山本卓志 ㈱島津製作所
森口志穂 ㈱島津テクノリサーチ
吉永直子 京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻
森 直樹 京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 教授
下澤楯夫 北海道大学 名誉教授
前田浩孝 名古屋工業大学大学院 工学研究科 准教授
津留美紀子 (国研)海洋研究機構 海洋生命理工学研究開発センター
椿 玲未 (国研)海洋研究機構 海洋生命理工学研究開発センター
出口 茂 (国研)海洋研究機構 海洋生命理工学研究開発センター長
魚津吉弘 三菱レイヨン㈱ 横浜研究所 フェロー
穂積 篤 (国研産業技術総合研究所 材料表界面グループ 研究グループ長
MattW.England(国研)産業技術総合研究所 材料表界面グループ
浦田千尋 (国研)産業技術総合研究所 材料表界面グループ 主任研究員
黒川孝幸 北海道大学大学院 先端生命科学研究院
今井宏明 慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 教授
宮内昭浩 ㈱日立製作所 材料イノベーションセンタ 主管研究員
鎌田香織 防衛医科大学校 / 東京工業大学
金森義明 東北大学大学院 工学研究科 ファインメカニクス専攻 准教授
大園拓哉 (国研)産業技術総合研究所 機能化学研究部門
山崎英数 富士フイルム㈱ R&D統括本部 生産技術センター長
田中博人 東京工業大学 工学院機械系 機械コース 准教授
増田 造 東京大学大学院 工学研究科
秋元 文 東京大学大学院 工学研究科 講師
吉田 亮 東京大学大学院 工学研究科 教授
平坂雅男 (公社)高分子学会 常務理事、事務局長
長谷川 誠 ㈱富士通総研 第一コンサルティング本部 公共事業部
田中寛樹 ㈱富士通総研 第一コンサルティング本部 公共事業部
齋藤 彰 大阪大学大学院 工学研究科 准教授
細田奈麻絵 (国研)物質・材料研究機構 / 東京大学
阿多誠文 日本ゼオン㈱ 総合開発センター 研究企画管理部
関谷瑞木 (国研)産業技術総合研究所 ナノチューブ実用化研究センター
溝口理一郎 北陸先端科学技術大学院大学 特任教授
※(国研):国立研究開発法人
・ 「見る」「測る」「作る」の各ステップでの研究成果をご紹介!
・ 具体的な機器類とその使い方および手法を具体的な事例で解説!
・ 豊富な図や写真で分かりやすく解説! (CDはカラーでご用意)
・ 国際標準化動向を各ワーキンググループの担当者が詳説 !
技術開発におけるバイオミメティクスは、古くて新しいテーマである。人間は鳥に憧れ飛行機などを開発し(機械系)、絹糸を模倣してナイロンなどの合成繊維が生まれた。酵素を模倣した触媒開発、葉緑素を模倣しての人工光合成など以前より取り組まれているテーマでもある(分子系)。近年バイオミメティクスが改めて注目を浴びている。これは、生物を観察するための各種カメラや顕微鏡など観察のための機器や計測・分析技術などの進歩により生物の機能に関する研究が進み、そのうえでナノテクノロジーなど、模倣を実現するための「製造」技術が進歩しているためと思われる。
当該企画では、文部科学省科学研究費新学術領域「生物多様性を規範とする革新的材料技術」の領域代表で、高分子学会「バイオミメティクス研究会」運営委員長である千歳科学技術大学教授下村政嗣先生のご監修の基、バイオミメティクスのそれぞれのステップ~見る・測る・作る~で使用される具体的な機器類とその使い方および手法について、それらを用いての研究結果、開発成果を、具体的な事例をもとにわかりやすく紹介する。バイオミメティクスの研究者の方には、他の研究者の方々の研究手法がさらなる研究のヒントになることを期待する。また、バイオミメティクスの研究を新たに始めようという方には、バイオミメティクスの各段階の研究がどのように行われているのかを具体例によりご理解いただけるだろう。バイオミメティクスに興味のある幅広い方にお勧めしたい1冊である。
序論~バイオミメティクス研究の概要 ~ 下村政嗣
1 はじめに 古くて新しいバイオミメティクス
2 バイオミメティクスの歴史と現代的意義
2.1 バイオミメティクスの黎明と分子系バイオミメティクスの台頭
2.2 機械系バイオミメティクスの潮流
2.3 新潮流、材料系バイオミメティクスによるルネサンス
2.4 生態系バイオミメティクスの新たなトレンド
3 本書のねらい
第1編 観察(見る/観る)
第1章 ハイスピードカメラによる昆虫の翅の展開・収納動作の解析 斉藤一哉
1 はじめに
2 実験装置
2.1 ハイスピードカメラ
2.2 レンズ
2.3 その他の機材
3 撮影方法
4 解析例
4.1 ハネカクシの翅の収納
4.2 テントウムシの翅の展開
5 おわりに
第2章 生物規範飛行システムを観て模倣する 劉 浩,中田敏是,池田旭彰,野田龍介
1 生物の飛翔能力
2 生物の飛行方法
3 生物の羽ばたき飛行-翅の運動を観る
4 生体飛行の流体力学-空気の流れを観る
5 コンピュータシミュレーションが拓く新しい生物飛行の空気力学
5.1 昆虫飛行のサイズ効果
第3章 昆虫SEM写真をもとにした画像データベース構築の試み 野村周平
概要
1 はじめに
2 昆虫のSEM写真ができるまで
3 インベントリー情報を付加したデータセット
4 昆虫のSEM写真に隠されたバイオミメティクスへの「気づき」
5 SEM画像データの高度化を図る
6 バイオミメティクスに役立つデータベースの構築
第4章 ナノ重合膜(NanoSuit®法)による生きた状態での生物の高解像度電子顕微鏡観察 針山孝彦
1 生物試料を保護するナノ重合膜(NanoSuit®法)の概要
2 生物を「観る」こととの背景
3 高真空環境下で生命維持できないか
4 生物試料すべてを観察可能に-バイオミメティクス的発想として界面活性剤を利用
5 NanoSuit®の電子線透過性
6 従来法とNanoSuit®法による観察結果の比較
7 NanoSuit®開発に基づく自立薄膜作製
8 まとめ
第5章 マイクロフォーカスX線CTシステムを用いた生物の構造観察事例紹介 枝廣雅美
1 はじめに
2 X線による内部観察
2.1 X線透視撮影
2.2 拡大投影
2.3 X線CTシステム
3 生物の構造観察事例
3.1 カブトムシ
3.2 オオテンジクザメのサメ肌
3.3 カイメン
3.4 リキッドマーブル
4 おわりに
第2編 計測・分析・イメージング(測る/計る/量る)
第1章 表面化学修飾を中心とした表面改質技術の開発とそのトライボロジー特性への効果 小林元康
1 はじめに
2 汎用摩擦試験機の種類
3 有機単分子膜による表面化学修飾とトライボロジー
4 高分子ブラシによる表面化学修飾とトライボロジー
5生体表面模倣による潤滑
6 まとめと将来展望
第2章 昆虫体表面の摩擦力測定~微細構造と摩擦の関係 平井悠司,奥田直人
1 昆虫と摩擦
2 摩擦力測定の準備
3 原子間力顕微鏡(AFM)を用いた摩擦力測定原理の概要
4 原子間力顕微鏡(AFM)を用いた昆虫体表面の摩擦力測定方法
4.1 マダシラミ体表面の摩擦力測定の方針
4.2 鱗片の重なりによる摩擦への影響
4.3 鱗片表面の微細な溝構造が摩擦へ与える影響
5 昆虫体表面の摩擦力測定のまとめ
第3章 イルカやコウモリのエコーロケーションとその応用技術 松尾行雄
1 はじめに
2 コウモリを模倣したエコーロケーション・システム
2.1 聴覚末梢系を模倣した時間周波数解析
2.2 物体の位置定位
2.3 評価実験
3 イルカのエコーロケーションに学んだ魚群探知システム
3.1 魚からの反射
3.2 広帯域スプリットビーム法
3.3 応用例:魚の行動推定と尾数推定
4 おわりに
第4章 イメージング質量顕微鏡で分かる高解像度質量分析イメージングの世界 緒方是嗣
1 はじめに
2 システムの概要
3 分析フロー
4 高空間分解能で見える新たな世界
4.1 マウス精巣中の脂質分布
5 バイオミメティクスでの応用可能性
6 むすび
第5章 ダイズ葉毛茸のハスモンヨトウ抵抗性への寄与 中田 隆,木村有希,山本卓志,森口志穂,吉永直子,森 直樹
1 はじめに
2 ダイズ葉毛茸の有無による選好性の変化
3 毛茸成分の化学分析
4 毛茸の観察と物理的パラメーターの測定
5 考察
6 実験の部
6.1 ダイズ葉のMSイメージング
6.2 ダイズ葉毛茸の物理パラメーターの測定
第6章 コオロギ気流センサの機械設計の解析 下澤楯夫
1 はじめに
2 感覚毛の気流応答特性の計測
3 気流感覚毛の機械モデル
4 液体中で振動する円柱の機械インピーダンス
5 境界層6 気流感覚毛の形
7 気流感覚毛の設計アロメトリー
8 おわりに
第7章 砂漠の蟻のサーマルマネージメント 前田浩孝
1 はじめに
2 サーマルマネージメントする生物
3 材料表面の特性を利用した熱制御
4 熱的物性測定手法について
4.1 定常法
4.2 非定常法
4.3 熱分布の可視化
5 まとめ
第8章 3D顕微鏡を用いた生物表面の三次元非破壊観察 津留美紀子,椿玲未,森 直樹,出口 茂
1 はじめに
2 3D顕微鏡
3 3D顕微鏡を用いたヒドロゲル表面の観察
4 3D顕微鏡を用いたハスモンヨトウ幼虫の観察
5 おわりに
第3編 製造(作る/造る/創る)
第1章 モスアイ型無反射フィルム 魚津吉弘
1 はじめに
2 モスアイ型反射防止フィルム
3 モスアイ型反射防止構造を形成するための金型の作製
4 光インプリントによるモスアイフィルムの作製
5 モスアイ型反射防止フィルムの反射率と写り込み
6 おわりに
第2章 生物の分泌/自己修復機能を模倣したバイオミメティクス材料の開発 穂積 篤,MattW.England,浦田千尋
1 はじめに
2 実験方法
2.1 多機能防錆皮膜
2.2 SLUG
3 結果
3.1 多機能防錆皮膜
3.2 SUUG
4 まとめ
第3章 高機能ハイドロゲルの創製 黒川孝幸
1 緒言
2 二重膜の形成
3 ラメラ相の1軸配向制御
4 力学的強靭性
5 結論
第4章 バイオミネラルのメソクリスタル構造を模倣したリチウムイオン電池材料の作製 今井宏明
1 はじめに
2 新規なナノ結晶集積体:メソクリスタル
2.1 バイオミネラルのナノ構造と特異性
2.2 単結晶と多結晶の中間構造としてのメソクリスタル
3 メソクリスタルの合成
3.1 水溶性高分子の特異吸着
3.2 ゲルマトリックス中における結晶成長
3.3 固相-固相転移
4 リチウムイオン二次電池物質へのメソクリスタルの応用
4.1 電極活物質としてのメソクリスタルのメリット
4.2 カソード活物質
4.2.1 マンガン酸リチウム
4.2.2 コバルト酸リチウム
4.2.3 四酸化三マンガン
4.3 アノード活物質
4.3.1 SnO
4.3.2 MnO
5 おわりに
第5章 ナノインプリントを用いた生体模倣機能性表面・材料の開発 宮内昭浩
1 はじめに
2 ナノインプリントによる表面構造の複製
3 ナノインプリントによる機能表面の形成
3.1 物理的機能
3.2 生物的機能
4 まとめ
第6章 藻類を鋳型とするバイオテンプレートプロセスと3次元機能材料 鎌田香織
1 緒言
2 めっきを利用して藻類から金属マイクロコイルをつくる
2.1 螺旋藻類スピルリナのバイオテンプレートプロセスLab Note on Experiment 1 スピルリナの光学密度 Lab Note on Experiment2 実験室レベルのスピルリナへの無電解めっき
2.2 スピルリナテンプレートの構造制御
3 作製した金属マイクロコイルの機能
4 おわりに
第7章 構造色の制御技術とその工学分野への応用 金森義明
1 研究概要
2 GMRG構造
3 製作工程
3.1 モールド材料の選定
3.2 モールドのパターニング
3.3 Siのエッチング
3.4 離型剤処理
3.5 高屈折率樹脂塗布
3.6 ナノインプリント
4 光学測定
第8章 動かせるシワ構造の工学応用 大園拓哉
概要
1 はじめに
2 構造可変な周期的凹凸構造:リンクル
3 透過・反射光の状態の操作:光拡散制御
4 微小スケール液体形状操作:毛細管力制御
5 リンクル構造上での摩擦力:可変摩擦力
6 おわりに
第9章 ハニカムフィルムとその生産技術開発 山崎英数
1 はじめに
2 微細構造形成手法について
3 ハニカムフィルム
3.1 ハニカムフィルムとは
3.2 自己組織化を用いたハニカムフィルムの形成プロセス
3.3 ラボスケールの形成装置
3.4 ハニカムフィルムの生産技術開発
3.4.1 製造化プロセス
3.4.2 大面積化に伴い観察された欠陥とその制御技術
4 おわりに
第10章 飛行生物の翼を規範とした自己組織化微小シワを有するポリマーフィルム 田中博人
1 概要
2 自己組織化シワ
3 シワフィルムの製作方法
4 シワによるフィルム剛性の変化
4.1 曲げ剛性の計算
4.2 引張剛性の計算
4.3 引張試験
5 羽ばたき翼への応用
6 結論
第11章 機能性高分子ゲル 増田 造,秋元 文,吉田 亮
1 はじめに
2 自励振動高分子ゲルの設計
3 自励振動ブロック共重合体の創製と振動挙動解析
3.1 自励振動ミセル/ベシクル:時分解DLSによる周期的な集合構造の変化の評価
3.2 自励振動マルチブロック共重合体の設計と周期的な粘度振動の解析
4 自励振動架橋ベシクル/コロイドソームの創製と細胞のような形状振動の観察
5 管状自励振動ゲルにおける物質輸送の観察と流体挙動解析
6 自励振動ポリマーブラシ表面:QCM-Dによる膨潤挙動解析と化学反応波の蛍光観察
7 おわりに
第4編 海外動向・特許・国際標準化動向
第1章 バイオミメティクスの海外動向と今後の推進戦略 平坂雅男
1 はじめに
2 海外動向
2.1 米国
2.2 ドイツ
2.3 フランス
3 国内の現状
4今後の推進戦略
4.1 生物学と工学の融合
4.2 情報科学の活用
4.3 ネットワーク構築4.4認証制度
第2章 特許・論文から見るバイオミメティクスの研究開発動向 長谷川誠,田中寛樹
1 バイオミメティクスの特許出願動向
2 バイオミメティクスの論文発表動向
3 今後の展望
第3章 バイオミメティクス研究開発・実用化に関する国内企業動向 宮内昭浩
第4章 バイオミメティクス国際標準化WG1の状況 齋藤 彰
1 はじめに ~WG1を取り巻く背景~
2 WG1では何を標準化するか
3 進め方
4 主な作業と争点
4.1 日本提案の中心議題その1:判定表
4.2 日本提案の中心議題その2:用語と対象者
4.3 新たに派生したWork Item
4.4 カナダの宿題: 規格の適用に向けた提案=新たな判定基準
5 国際的な攻防6 総括と将来像
第5章 国際標準化Biomimetics ISO TC266WG2(バイオミメティクス ワーキンググループ2) の取り組み 細田奈麻絵
1 はじめに
2 標準化の重要性「なぜ、今か」
2.1 観察・計測技術の進歩
2.2 製造・加工技術の進歩
3 原案の内容
3.1 2種類の開発方法
3.2 生物モデル
3.3 生物の分析方法
3.4 アナロジーと抽象化過程
3.5 期待される産業分野
4 おわりに
第6章 生物の順応的成長に学ぶ工業製品のデザイ ン手法が国際基準へ~ISO/TC266WG3の発足から京都会議まで 阿多誠文,関谷瑞木
1 ISO/TC266Biomimeticsとは
2 生物に学ぶ工業製品の最適化手法が国際標準に
3 何が国際標準となったのか?
4 ドイツが4種の最適化アルゴリズムにこだわった理由
5 国際競争力の源泉としての国際標準
6 バイオミメティクス国際標準、発行のその後
7 WG3の国際標準化のプロセスで浮かび上がった課題
第7章 国際標準化の動向 ワーキンググループ4の取り組み 溝口理一郎
1 まえがき
2 バイオミメティクスと情報検索
2.1 WG4の位置づけ
2.2 Keyword Explorer
3 シソーラスとオントロジー
3.1 シソーラス
3.2 オントロジー
3.2.1 機能オントロジー
3.2.2 機能分解
4 ISOにおける標準化
4.1 生物種
4.2 属性
4.3 生息環境
4.4 開発されるオントロジーの品質
5 むすび
今後の展望・まとめ 下村政嗣
付 録
バイオミメティクス研究分野および使用機器・手法に関するアンケートのまとめ ㈱シーエムシー・リサーチ